海外ジャーナルクラブ
1年前
Fuxenchらは、 小児および成人のアトピー性皮膚炎患者を対象に、 炎症性腸疾患 (IBD)、 潰瘍性大腸炎 (UC)、 クローン病 (CD) の新規発症リスクを住民ベースのコホート研究で検討。 その結果、 アトピー性皮膚炎の小児および成人の患者においてはIBDのリスクが増加しており、 そのリスクは年齢、 アトピー性皮膚炎の重症度、 IBDの種類によって異なることが明らかとなった。 本研究はJAMA Dermatology誌において発表された。
当たり前のことなのですが、 皮膚病変は皮膚のみに限局しているわけではなく、 全身に影響を与えていることをリスクとして算出しています。
CECDAI:Capsule endoscopy Crohn’s disease activity index
アトピー性皮膚炎とIBDの関連については一貫性のないデータしか存在せず、 アトピー性皮膚炎の重症度とUCおよびCDのリスクとの関連を個別に調査した研究はほとんど行われていない。
アトピー性皮膚炎患者1例に対し、 背景因子をマッチングさせた対照を最大5例組み込んだ。
IBD、 UC、 CDの発症
小児アトピー性皮膚炎患者はIBDリスクが44% (HR 1.44、 95%CI 1.31-1.58)、 CDリスクは74% (HR 1.74、 95%CI 1.54-1.97) 高かった。 これらのリスクはアトピー性皮膚炎の重症度が高いほど増加した。
小児アトピー性皮膚炎患者においては全体的にUCのリスク増加は見られなかった (HR 1.09、 95%CI 0.94-1.27) 。 しかし、 重度のアトピー性皮膚炎患者においてはリスクが高かった (HR 1.65、 95%CI 1.02-2.67)。
成人アトピー性皮膚炎患者ではIBDリスクが34% (HR 1.34, 95% CI 1.27-1.40)、 CDリスク36% (HR 1.36, 95% CI 1.26-1.47)、 UCリスク32% (HR 1.32, 95% CI 1.24-1.41) 高かった。 これらのリスクはアトピー性皮膚炎の重症度が高いほど増加した。
小児および成人のアトピー性皮膚炎患者ではIBDのリスクが増加し、 そのリスクは年齢、 アトピー性皮膚炎の重症度、 およびIBDの種類により異なっていた。 これらの知見はアトピー性皮膚炎とIBDの関連についての新たな知見を提供するものであり、 アトピー性皮膚炎の全身治療を行う際、 特に消化器症状が合併する可能性のある患者に対して、 これらのリスクを考慮する必要がある。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。