海外ジャーナルクラブ
4ヶ月前
GBD 2021では、 世界における死亡率や平均余命、 人口などのほか、 COVID-19パンデミックの影響が報告された。 その結果、 1950~2019年まで減少傾向だった死亡率がCOVID-19パンデミックの期間には増加に転じるなど、 パンデミックによる大きな影響が示された。 本研究はLancetで発表された。
人口動態はCOVID-19パンデミックまではほぼ予想通りになる (予測可能) とされていましたが、 COVID-19パンデミックによるそれまでの70年間と大きく変化していることから、 人口動態も変化し得る指標であることを再認識する必要があります。
【Lancet】COVID-19パンデミックも含む世界の疾病負荷を発表~GBD 2021~
人口統計指標の推定は、 集団の健康アウトカムの水準と傾向を評価する上で極めて重要である。
COVID-19パンデミックは、 世界の人口に深刻な影響を与える前代未聞の出来事であった。 この影響を分析するため、 迅速にデータを収集し、 過去の長期間にわたる健康状態の変化と比較する必要があった。
世界疾病負荷調査 (GBD)によるGBD 2021では、 1950~2021年における204の国・地域と811の地方について、 新たな人口動態推計値を提供した。 特に2020~21年のCOVID-19パンデミック期間中に起こった死亡率と平均余命の変化に重点を置いている。
国勢調査などのデータソース2万2,223件を使用して死亡率などを推定した。
年齢調整死亡率
- パンデミック前 (1950~2019年) : 62.8%減少
- パンデミック後 (2020~21年) : 5.1%増加
5歳未満の小児の死亡数
- パンデミック前 (2019年) : 521万人
- パンデミック後 (2021年) : 466万人
出生時の平均余命
- パンデミック前(1950年):49.0歳
- パンデミック後(2021年):71.7歳
増加幅は22.7歳(95%UI 20.8-24.8歳)
2019〜21年の平均余命
2019〜21年の平均余命は1.6歳減少した*⁵。一方、15.7%の国・地域では平均余命が増加した。
2021年の世界の人口は78.9億人(95%UI 76.7〜81.3億人)であった。204の国・地域のうち、2021年までに人口がピークに達し、その後減少したのは56の国・地域であった。
2020〜21年の人口増加の最も多くを占めたのは、サハラ以南のアフリカ(39.5%)と南アジア(26.3%)であった。一方、2000〜21年に15歳未満に対する65歳以上の人口の割合が増加したのは、204ヵ国のうち188ヵ国(92.2%)であった。
著者らは「COVID-19パンデミックは、多くの人口統計学的指標に影響を与えたが、評価した72年間において、世界の保健は大きく進歩し、死亡率や平均余命は大幅に改善した。
また、低所得国での人口増加にもかかわらず、2017年以降、世界全体の人口増加は減速しており、高齢化も進んでいる。これらの人口動態の変化は、将来的に保健システム、経済、社会に課題をもたらすだろう。
今回の推計により、研究者や政策立案者、保健医療従事者、その他の主要な関係者が、COVID-19パンデミック後の保健事情の変化と長期的な傾向をよりよく理解し、対処できるようになるだろう」と述べている。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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