医療の最前線から
17日前
世界の注目総説論文を紹介する連載 「医療の最前線から」。 今回は、 2025年のNEJM 誌に掲載された 「異所性妊娠」 (特に卵管異所性妊娠について) のレビュー論文を取り上げます。 異所性妊娠は米国での妊娠関連死亡の2.7%を占める重篤疾患ですが、 超音波とヒト絨毛性ゴナドトロピン (hCG) 測定の精度向上により外来で早期診断・治療が行えるケースが増えています。 本レビューは診断アルゴリズムから手術・薬物・経過観察の最新エビデンスまで図表中心に整理されており、 忙しい臨床医に必読の内容です。
💡 異所性妊娠のリスク因子
💡 hCG値と診断閾値
💡 術式選択
💡 メトトレキサート療法の適応基準と投与回数
原著論文で詳細を確認する
Tubal Ectopic Pregnancy. N Engl J Med. 2025 Feb 20;392(8):798-805. PMID: 39970398.
hCG値が3,500 mIU/mLを超えても子宮内妊娠が確認できない場合、 異所性妊娠の可能性が高まります。 アルゴリズム化されたフォローアップ (隔日hCG検査+症状評価+画像診断) が推奨されており、 48時間でhCGが倍増しない症例は要注意とされています。
💡 論文内には診断に役立つ経膣超音波検査画像が掲載されています。
hCGが低レベルで下降傾向であり、 症状が現れていない症例では、エビデンスが限られていることを承知の上で、 経過観察管理が選択肢となり得ますが、 リスク説明と厳格な再診体制が不可欠です。
💡 異所性妊娠に関する各治療アプローチが、 フローチャート形式で提示されています。
36ヵ月累積妊娠率は、卵管切開術 61% vs 卵管切除術後 56%で両者に有意差は認められませんでした。 出血などの観点から、 対側卵管が健康な患者に対しては卵管切除術が優先されることが無作為化比較試験により確認されていますが、 術式選択には個別化が必要です。
💡 論文では複数試験の主要結果が具体的に示されています。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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