海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前

Simonらは、 米国で根治的切除を受けたⅠ~Ⅲ期直腸癌患者を対象に、 ロボット手術による腫瘍切除の質および転帰に及ぼす影響を後ろ向きの多施設共同コホート研究で評価した。 その結果、 ロボット手術の実施率・質の高い腫瘍切除率は経時的に上昇傾向にあった。 また、 ロボット手術は開腹手術・腹腔鏡手術と比べて質の高い腫瘍切除達成のオッズを改善し、 開腹手術と比べて死亡率を有意に低減した。 本研究はSurg Endosc誌において発表された。
複合アウトカム指標に他の予後因子 (直腸間膜全切除 (TME) グレード、 血管侵襲、 神経周囲浸潤など) を含まない点や、 手術時間や医療資源の観点 (コスト) に関する情報が欠如している点がlimitationです。
直腸癌に対するロボット手術は、 解剖学的課題への対応として注目を集めているが、 費用、 手術時間、 腫瘍学的転帰に関する懸念は依然として残っている。 腹腔鏡手術に関する研究では、 当初は長期的な腫瘍学的安全性についてばらつきがみられたが、 現在のデータは良好である。 一方で、 ロボット手術を支持するエビデンスは依然として限定的である。
そこで本研究では、 リンパ節採取数と陰性切除縁によって定義される質の高い腫瘍切除の達成を含むロボット手術の傾向を評価した。
米国のNational Cancer Database (NCDB) のデータを用いて、 2010~21年に根治的切除を受けたⅠ~Ⅲ期の直腸癌患者8万7,611例を対象に、 ロボット手術実施率、 質の高い腫瘍切除 (リンパ節採取数と切除縁で定義) 達成、 在院日数、 30日再入院率、 死亡率などを後ろ向きの多施設共同コホート研究で評価した。
評価項目は3つの期間 (2010~13年、 2014~17年、 2018~21年) に層別化し、 単変量解析および多変量ロジスティック回帰解析を実施した。
ロボット手術の実施率は、 2010~13年には10.1%であったが、 2018~21年には45.7%に上昇した (p<0.001)。
質の高い腫瘍切除率も経時的に改善し、 65.4%から75.3%に上昇した (p<0.001)。
ロボット手術は、 開腹手術と比べて、 質の高い腫瘍切除達成のオッズが1.39倍高かった (p<0.001)。 いずれも時間経過とともに改善したものの、 各3分位においてロボット手術は腹腔鏡手術と比べて質の高い腫瘍切除達成のオッズが高かった (例 : 2018~21年のOR ロボット手術 1.64 [95%CI 1.49-1.81] vs 腹腔鏡手術 1.44 [95%CI 1.30-1.61])。
手術件数の多い施設では、 成功率がさらに高まった (OR 1.6、 p<0.001)。 ロボット手術および腹腔鏡手術は、 開腹手術と比べて死亡率が有意に低減した (ロボット手術 OR 0.63、 p<0.001、 腹腔鏡手術 OR 0.72、 p<0.001)。
著者らは 「過去10年間で、 ロボット手術は質の高い腫瘍切除率や全生存率などの腫瘍学的指標を大幅に改善し、 腹腔鏡手術や開腹手術を上回った。 これらの知見は、 直腸癌治療におけるロボット手術の役割の拡大、 継続的な進歩と公平なアクセスを確保するための体系的な研修および資格認定の必要性を支持している」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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