海外ジャーナルクラブ
12ヶ月前
Jeonらは、 肝細胞癌 (HCC) の患者を対象に、 スタチンの使用が肝切除後の患者の予後にどのように影響するかをコホート研究で検討した。 その結果、 スタチンを使用していた患者は非使用者に比べ、 肝切除術後の無再発生存期間 (RFS) と全生存期間 (OS) が有意に改善していた。 本研究はEClinicalMedicine誌において発表された。
本文の結論の最後にある文章 (the findings of the present study may serve as a basis for conducting randomized clinical trials to provide firm evidence on this issue.) は観察研究として教科書のような結論です。 あくまでも仮説の提唱です。
肝切除後のHCC患者の半数以上が腫瘍の再発を経験する。 スタチン使用はHCC発症リスク低減に関連していることが示唆されているが、 肝切除後の患者の予後に対する影響は不明であった。
2002年1月~2017年12月に肝切除を受けたHCC患者:2万1,470例 (全国コホート)
スタチン使用者と非使用者の予後を比較した。
RFS
OS
全国コホート
病院コホート
傾向スコアマッチングを行った全国コホートの解析では、 スタチン使用者においてRFSおよびOSが有意に良好であった。
RFS:HR 0.60 (95%CI 0.56-0.64、 p<0.001)
OS:HR 0.49 (95%CI 0.45-0.53、 p<0.001)
傾向スコアマッチングを行った病院コホートの解析では、 スタチン使用者においてRFSおよびOSが有意に良好であった。
RFS:HR 0.73 (95%CI 0.59-0.90、 p=0.003)
OS:HR 0.48 (95%CI 0.32-0.72、 p<0.001)
スタチンの有益な効果は肝硬変ではない患者、 腫瘍サイズ≧3cm、 微少脈管侵襲が認められた患者、 早期HCC再発 (切除後2年未満) の患者で顕著であった。
スタチン使用は肝切除後のHCC患者の予後改善に関連しており、 これは病院ベースのコホートでも確認された。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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