HOKUTO編集部
18日前

治癒切除後のStage IIIの大腸癌患者を対象に、標準術後補助化学療法に低用量アスピリンを併用することの有用性を検証した第Ⅲ相無作為化比較試験EPISODE-III(JCOG1503C)の結果、 プラセボ併用群と比べてアスピリン併用群では無病生存期間(DFS)の数値的な改善は認められたものの、 両群間に有意差は示されなかった。国立がん研究センター中央病院消化管内科医長の髙島淳生氏が発表した。
大腸癌診断後にアスピリンを使用することで予後が改善する可能性が観察研究で示されているが、 術後療法でのアスピリン使用に関する無作為化比較試験のエビデンスは限定的である。
大腸癌の標準術後療法終了後のアスピリン投与の有用性を検証した第Ⅲ相無作為化比較試験のASCOLTでは、 未選択の集団におけるアスピリンの明確な有用性は認められなかった¹⁾。 その一方で、 PI3K経路の遺伝子に変異がある大腸癌患者では、 術後療法におけるアスピリン併用の有用性が複数の第Ⅲ相無作為化比較試験 (ALASCCA およびSAKK 41/13) で示されている²⁾³⁾。
二重盲検第Ⅲ相無作為化比較試験であるEPISODE-III(JCOG1503C)試験では、 未選択のStage III大腸癌患者を対象に、 標準術後化学療法に低用量アスピリンを併用することの有用性を評価した。
対象は、 国内36施設で登録された、 20~80歳かつECOG PS 0/1のStage III大腸癌 (下部直腸を除く) の治癒切除患者882例。 患者は以下の2群に1:1で割り付けられた。
主要評価項目はDFS、 副次評価項目は全生存期間 (OS)、 無再発生存期間 (RFS)、 安全性、 試験薬の相対用量強度 (RDI) だった。
データカットオフ(2025年10月)時点の追跡期間中央値は4.0年だった。 DFSイベントはプラセボ群で124件、アスピリン併用群で107件発生した。
3年DFS率は、 プラセボ群の75.4%に対してアスピリン併用群では78.8%と数値的には3.4%㌽高かったものの、 統計学的に有意な改善は示されなかった (HR 0.84 [95%CI 0.65~1.09]、 片側p=0.099)。
プラセボ群と比べたアスピリン併用群におけるDFSの数値的な改善は、 事前に規定された感度分析でも一貫して認められた (HR0.81~0.85)。
副次評価項目の3年RFS率は、 プラセボ群の77.2%に対して、 アスピリン併用群では79.5%であり(HR 0.87 [95%CI 0.66~1.14])、DFSと同様の傾向が認められた。一方、3年OS率はプラセボ群が96.6%、アスピリン併用群が95.2%だった(HR 1.02 [95%CI 0.65~1.60])。
Grade≧3の有害事象の発現率は両群で同程度であり、Grade≧3のアスピリンに関連する有害事象は1%未満(下部消化管出血4例)だった。アスピリン併用群では化学療法中に治療関連死1例(虚血性心疾患)がみられた。RDIは両群とも中央値98.6%と高く、 差はなかった。
髙島氏は 「未選択のStage III大腸癌において、 標準術後化学療法に低用量アスピリンを併用することによるDFSの有意な改善は示されなかった」 と結論。 その上で 「低用量アスピリン併用による数値的なDFSの改善は示された。 また、 アスピリンの忍容性は良好で、 新たな安全性シグナルは認められなかった」 とした。
なお、 同氏によると、 現在PI3K/PIK3CAを含むバイオマーカーに基づく探索的解析が進行中であり、 同解析の結果はアスピリンを用いた無作為化比較試験の共同メタ解析にも反映される見通しであるという。
1) Lancet Gastroenterol Hepatol. 2025; 10: 198-209.
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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