海外ジャーナルクラブ
12ヶ月前
Misawaらは、 オキサリプラチンまたはタキサン系薬による化学療法の施行中に中等症~重症の化学療法誘発性末梢神経障害 (CIPN) を発症した成人癌患者を対象に、 神経障害性疼痛緩和薬ミロガバリンの有効性と安全性を探索的非盲検単群介入研究で検討した。 その結果、 化学療法中のミロガバリン1日2回12週間経口投与により、疼痛のnumeric rating scale (NRS) スコアが有意に改善した。 本研究はBMC Cancer誌において発表された。
本研究は単施設、 対照群がない、 短期間の観察、 化学療法のレジメンが不明、 評価者が神経診察に慣れていない、 などと多くのlimitationがあります。 ただ、 CIPNに対してミロガバリンの効果を検討した意義は大きいです。
オキサリプラチンまたはタキサン系薬による化学療法中、 CTCAE version 5.0に基づきGrade 2以上のCIPNと診断された成人癌患者:52例
ミロガバリン5mgを1日2回1週間経口投与後、 10~15mg (腎機能低下例では5~7.5mg) 1日2回投与まで漸増
ミロガバリン投与開始後12週時の疼痛NRSスコアのベースラインからの変化量
12週時のしびれ感のNRSスコア
主要評価項目
平均NRSスコアはベースライン時の5.5±1.5から12週時の3.8±2.2へ、 30.9%低下した。
平均変化量:-1.7 (95%CI -2.4--1.0、 p<0.001)
NRSスコア6以上の患者に限定した解析
スコア低下幅:44.0%
平均変化量:-3.3 (95%CI -5.0--1.5、 p=0.002)
副次評価項目
12週時のしびれ感のNRSスコアもベースラインと比べて優位に低下した。
平均変化量:-1.2 (95%CI -1.9--0.4、 p=0.003)
有害事象
患者の31%が有害事象を経験し、 最も多かった事象は傾眠 (13.5%) であった。
重篤な有害事象
篤な有害事象は3例、 死亡は1例にみられたが、 ミロガバリンによる治療とは無関係であった。
化学療法中のミロガバリン投与は、 中等症~重症のCIPNを有する癌患者に対して有効かつ安全であり、 CIPNを悪化させることなく化学療法の完遂に寄与し得る可能性がある。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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