HOKUTO編集部
2年前
日赤医療センター呼吸器内科 出雲雄大先生監修!新連載 「Clinical Notes 気管支喘息」 では10回に分けて、 臨床現場ですぐに使える気管支喘息の疾患情報をお届けします。
気管支喘息の診断は画像診断や病理診断では確定できないため, まずは症状から 「喘息らしい」 と疑うことが重要である. 喘息の明確な「診断基準」 は設けられていない. 診断の目安としては以下が挙げられている¹⁾²⁾.
実際には, 患者の愁訴としてよくあるのは 「なんとなく息苦しい」 「咳が出てとまらないことがある」「年に何回か同じような症状が出る」である. そこから下記を中心に, 丁寧な問診を行おう.
問診の結果, 下記のような患者像が見えてきた場合は喘息の可能性が非常に高い.
問診以外に診断のために追加する検査としては下記が挙げられる¹⁾²⁾³⁾.
(1) 身体所見
(2) 胸部単純写真 (胸部CT)
(3) 呼気一酸化窒素 (FeNO) 測定
(4) 肺機能検査
(5) 血液検査
(6) 喀痰細胞診
このように問診で 「喘息らしさ」 が見えてきた場合, 吸入薬を処方するのが一般的だが, 投薬したままでフォローオフすると重篤な疾患を見落とすことがある. 1~2週間を目安に再診し, 症状改善がない場合, そのほかの鑑別疾患を除外すべきである.
特に高齢患者や先述の 「喘息らしさ」 にかける患者の場合, 肺がんや結核などの重篤な疾患を見逃さないためにも, 初診の時点で積極的に胸部単純写真, もしくはそれに加え胸部CT検査を行うことを推奨する. 現在のコロナ渦においてはPCR検査や抗原検査といったCOVID-19のスクリーニングを行うことも重要である.
日常でよく遭遇する気管支喘息と鑑別を要する疾患を下記に示す. ただし, COPDは合併することがあるため, 注意する.
「喘息らしさ」 があり, 他疾患の除外ができれば, 気管支拡張薬や吸入ステロイド(ICS) により症状が改善するかを確認しよう¹⁾.
実臨床においては, ICSもしくはICS/LABA (吸入ステロイド/長時間作用型気管支拡張薬)と, 発作時の頓用としてSABA (短時間作用型気管支拡張薬) の吸入を開始する. ブデソニド/ホルモテロールを使用したSMART療法の場合, ICS/LABAとしての作用だけでなく, 一剤でSABAの役割も果たすことができるため, 患者のコンプライアンスが良好であることが多い.
効果のある患者の場合, 吸入開始当日より症状の改善が見られることもある. まずは1~2週間後に再診し, 症状の確認を行おう. 症状が改善している場合は喘息と診断し, 治療の継続を行う.
最終更新:2022年7月7日
監修:日本赤十字社医療センター呼吸器内科部長 出雲雄大先生
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。