海外ジャーナルクラブ
5ヶ月前
Johnsonらは、 T1a-cでリンパ節転移のないHER2+乳癌を対象に、 トラスツズマブ術後補助療法が生存転帰に及ぼす影響について多施設共同後ろ向き解析で検討した。 その結果、 トラスツズマブ術後補助療法は化学療法の併用の有無を問わず生存転帰を改善することが示唆された。 本研究はNPJ Breast Cancerにおいて発表された。
本論文は、 下記のようにテキスト記載が若々しい、 やや口語調である点が面白いと思います。
(前略) …who go “untreated.” This in turn can impact the clinical outcomes we see. We attempted to correct… (後略)
腫瘍径が小さく、 リンパ節転移のないHER2+乳癌の管理における術後補助療法の有用性に関するデータは限られている。
米国臨床腫瘍学会 (ASCO)のデータベースを用いた多施設共同後ろ向き解析。 受けた治療別に生存転帰を比較検討した。
T1a-c、 N0、 HER2+乳癌患者 : 1,184例
患者が受けた治療は以下のいずれかであった。
術後トラスツズマブ療法 (+/-化学療法) では、 局所治療単独に比べてiDFSが有意に改善した。
単変量解析
HR : 0.73 (95%CI 0.57-0.93)、 p=0.003
多変量解析
HR : 0.70 (95%CI 0.54-0.91)、 p=0.009
術後トラスツズマブ療法 (+/-化学療法) では、 局所治療単独に比べてOSが有意に改善した。
単変量解析
HR : 0.63 (95%CI 0.41-0.95)、 p=0.023
多変量解析
HR : 0.63 (95%CI 0.40-0.99)、 p=0.047
3群*の単変量解析
iDFSは、 術後トラスツズマブ療法 (p=0.003) および術後トラスツズマブ療法+化学療法 (p=0.027) では局所治療単独に比べて有意に改善した。
サブグループ解析
T1b/cの乳癌で最大の利益を得られることが示唆された。
著者らは 「化学療法の併用の有無を問わず、 トラスツズマブによる術後補助療法は、 腫瘍が小さくリンパ節転移のないHER2+乳癌患者のiDFSを有意に改善することが、 この研究結果から示唆される」 と述べている。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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