聖路加国際病院 救急部
4ヶ月前
めまい重症診断予測スコアであるSudbury Vertigo Risk Scoreに関する論文が公開されていましたのでご紹介します。 SNSで話題になっていたものの、 正直当たり前な変数と解釈です (神経所見があったら危ない)。
ただ、 患者説明の参考にはなるかもしれません。 なお、 カナダ3施設のめまい患者を対象とした研究であり、 本邦含め検証は不十分であることに注意が必要です。
7項目の合計点でめまい重症診断を予測。 神経症状 (運動/感覚障害 または 小脳症状*) があればそれだけで追加検査が推奨される。
神経症状がなくても 高齢男性、 高血圧、 糖尿病すべてを満たす場合は中リスクであり追加検査が推奨される。
2024年に、 Robert Ohleらカナダの研究グループにより報告されためまい予後予測スコアである¹⁾。 めまいを呈する重症疾患 (脳卒中、 TIA、 椎骨動脈解離、 脳腫瘍) の発生を予測する¹⁾。
以下の7項目の合計点で評価する
- 男性 +1
- 65歳以上 +1
- 高血圧 +1
- 糖尿病 +3
- 運動/感覚障害 +5
- 小脳症状 +6
- BPPV診断 -5
- 低リスク (~5点) 重症診断 0%
- 中リスク (5-8点) 重症診断 2.1%
- 高リスク (9点~) 重症診断 41%
カナダの3施設の救急部門におけるめまい患者を対象に前向きコホート研究を実施し、 スコアを作成、検証した。 対象は2,078人で、 重症疾患 (脳卒中、 TIA、 椎骨動脈解離、 脳腫瘍) の発生率は5.3% (111例) であった。 <5点をカットオフとした場合の感度100%、特異度72.1%であった¹⁾。 低リスク群において重症診断を0%に抑えることが可能であるとされる。
- 感度 100% (95%CI 97-100%)
- 特異度 72.1% (95%CI 70.1-74%)
- C統計量 0.96 (95%CI 0.92-0.98)
また、 このスコアにより頭部CTを10%削減できる可能性があった¹⁾。
2024年8月現在、 他施設および本邦における検証は行われていない。
最終更新日 : 2024年8月10日
監修 : 聖路加国際病院 救急部 清水真人
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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