【AE-IPF】特発性肺線維症急性増悪の定義と診断基準 (本邦ガイドライン&国際作業部会)
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HOKUTO編集部

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【AE-IPF】特発性肺線維症急性増悪の定義と診断基準 (本邦ガイドライン&国際作業部会)

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IPF急性増悪の定義と診断基準

【AE-IPF】特発性肺線維症急性増悪の定義と診断基準 (本邦ガイドライン&国際作業部会)

AE-IPFとは?

  • 特発性肺線維症 (IPF) の経過中に新たな陰影の出現とともに呼吸不全が急速に悪化することがあり、 急性増悪(acute exacerbation : AE)と呼ばれている.
  • IPFの急性増悪の頻度は年間5~15%、 死亡率は50~80%であり、 IPFの死因の30~50%を占めると報告されている¹⁻³⁾.
本ツールでは、 本邦¹⁾および国際的⁴⁾な急性増悪の診断基準を示した.

特発性肺線維症 (IPF) について⁵⁾

  • IPFは難治性で、 欧米の報告では平均生存期間は2.5~3.5年と肺癌に匹敵するほど予後不良であり、 日本では死因の約1/3は急性増悪が占める.
  • IIPsの中で最も多く約半数を占める.
  • 呼吸機能の中でも特に努力性肺活量(FVC)の低下速度は生命予後を反映する良い指標とされており、 FVCは年間平均150~200mL低下する.
  • ILDの診断が特定されない場合、 外科的肺生検や気管支鏡検査結果などを踏まえmultidisciplinary discussion (MDD) によりIPFの確定診断または除外が可能となる.
  • MDDとは、 最終診断の精度を高めるために行われる、 間質性肺炎の診断に精通した臨床医、 放射線診断医、 病理医による集学的検討である. 

使用上の注意点

国際的ワーキンググループによる診断基準では、 誘因のある急性増悪(感染、 術後、 薬剤、 誤嚥など)をtriggered AE、 誘因が認められない急性増悪をidiopathic AEとし、 両者とも急性増悪として扱うこととしている. 

参考文献

  1. 診断・治療ガイドライン作成委員会 (編) . 特発性間質性肺炎診断と治療の手引き, 改訂第4版. 南江堂, 東京. 2022
  2. Kondoh Y, et al. Risk factors of acute exacerbation of idiopathic pulmonary fibrosis. Sarcoidosis Vasc Diffuse Lung Dis. 2010 ; 27 (2) : 103-110. PMID : 21319592
  3. Song JW, et al. Acute exacerbation of idiopathic pulmonary fibrosis: incidence, risk factors and outcome. Eur Respir J. 2011; 37 (2) :356-363. PMID : 20595144
  4. Collard HR, et al. Acute Exacerbation of Idiopathic Pulmonary Fibrosis. An International Working Group Report. Am J Respir Crit Care Med. 2016 ;194 (3) : 265-275. PMID : 27299520
  5. HOKUTO内記事『後期研修医のための呼吸器内科現場診療: 間質性肺疾患』より解説引用 (日赤医療センター呼吸器内科副部長 猪俣稔先生)

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最終更新日:2022年6月28日
後期研修医のための呼吸器内科現場診療: 間質性肺疾患より解説引用 (日赤医療センター呼吸器内科副部長 猪俣稔先生)

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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