海外ジャーナルクラブ
1年前
Rugoらは、 ホルモン受容体 (HR) 陽性HER2陰性転移性乳癌の患者を対象に、 抗Trop-2抗体薬物複合体(ADC)であるsacituzumab govitecanが全生存期間 (OS) に与える影響を非盲検多施設共同第Ⅲ相無作為化試験TROPiCS-02で検討。 同試験の最終解析の結果、 sacituzumab govitecanは対照の化学療法群に対してOSを有意に改善したことが明らかとなった。 本研究はLancet誌において発表された。
最近の傾向では、 最初のimpactの強い途中結果の解析は5大雑誌に掲載されて、 最終結果はJCOというパターンが多いですが、 本研究はその逆になっています。
sacituzumab govitecanは、 既に治療を受けたHR陽性HER2陰性の転移性乳癌患者において、 化学療法と比較し、 有意に無増悪生存期間 (PFS) 延長効果を示すことがTROPiCS-02試験において確認されている。
HR陽性およびHER2陰性が確認された局所再発の手術不能または転移性乳癌患者
患者は以下の群に1:1で無作為に割り付けられた。
無増悪生存期間 (PFS)
OS、 客観的奏効率 (ORR)、 患者報告アウトカム
OSは、 化学療法群に比較しsacituzumab govitecan群において有意に改善した。
この生存便益はTrop-2発現レベルで分けられたサブグループ間においても一貫していた。
ORRも、 化学療法群に比較しsacituzumab govitecan群で有意に高かった。
全体的な健康状態とQOL、 および倦怠感の悪化までの時間についてもsacituzumab govitecanで有意に改善した。
全体的な健康状態とQOL悪化までの時間 (中央値)
倦怠感の悪化までの時間 (中央値)
sacituzumab govitecanの安全性プロファイルは以前の研究と一致していた。
sacituzumab govitecan群において治療に関連する致命的な有害事象 (好中球減少性大腸炎による敗血症性ショック) が1件発生した。
sacituzumab govitecanは化学療法と比較し、 有意かつ臨床的に意味のある効果を示した。 OS中央値は3.2カ月改善し、 安全性プロファイルも管理可能であった。 このデータは、 治療歴のあるHR陽性HER2陰性の転移性乳癌患者に対する新しい治療選択肢としてのsacituzumab govitecanを支持するものである。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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