薬剤性肝障害の診断基準 -DDWJ 2004 ガイドラインと検査値異常-
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HOKUTO編集部

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薬剤性肝障害の診断基準 -DDWJ 2004 ガイドラインと検査値異常-

薬剤性肝障害の診断基準 -DDWJ 2004 ガイドラインと検査値異常-

薬物性肝障害の診断基準とは?

薬物性肝障害 (drug-induced liver injury:DILI) の診断基準としては、 日本消化器関連学会週間 (DDW-J) 2004のワークショップで提案されたものが現在広く用いられている¹⁾。 

🔢薬物性肝障害のスコアを計算する

DDW-J 2004ワークショップのスコア

診断時のALT値とALP値から病型分類後、 8項目のスコアを計算し、 総スコア5点以上については可能性が高い、 3〜4点については可能性あり、 2点以下は可能性が低いとの判定を行うものである。 以下のフローチャートはHOKUTO編集部で引用作図したものである。
薬剤性肝障害の診断基準 -DDWJ 2004 ガイドラインと検査値異常-
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RUCAMをもとに作成

1993年に国際コンセンサス会議が提唱した診断基準であるRUCAM (Roussel-Uclaf Causality Assessment Method)²⁾ を骨組みとして作成された。 なお、 RUCAMは2015年に改訂案が提案されている³⁾。

使用上の注意

使用上の注意について、厚生労働省『重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬物性肝障害』では以下のように記載されている⁴⁾。

飲酒の判定が曖昧になりがちである。また、実臨床で使用するにはやや煩雑であること、DLSTは保険適用外であり、偽陽性/偽陰性の存在から結果の解釈が困難な場合があることなどの問題もある。さらに、このスコアリングシステムでも、慢性肝障害を背景肝とする症例に発症する薬物性肝障害は想定していないことを注意する必要がある。

早期発見と早期対応のポイント

薬物性肝障害の既往のある患者が、 肝障害の原因となった薬物を再度服用した場合、 より重篤な肝障害が発現する可能性があることを十分に患者へ説明し、 薬物性肝障害の既往の有無について、詳細に聴取することが肝要である。 多くの薬物性肝障害は薬物服用後60日以内に起こることが多いが、 90日以降の発症もみられる (約20%)⁴⁾。

参考文献

1) 滝川 一, 他:DDW-J 2004ワークショップ薬物性肝障害診断基準の提案. 肝臓 46:85-90,2005.

2) Causality assessment of adverse reactions to drugs--I. A novel method based on the conclusions of international consensus meetings: application to drug-induced liver injuries. J Clin Epidemiol. 1993 Nov;46(11):1323-30. PMID: 8229110

3) RUCAM in Drug and Herb Induced Liver Injury: The Update. Int J Mol Sci. 2015 Dec 24;17(1):14. PMID: 26712744

4) 厚生労働省. 重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬物性肝障害  (肝細胞障害型薬物性肝障害、胆汁うっ滞型薬物性肝障害、混合型薬物性肝障害、急性肝不全、薬物起因の他の肝疾患) 令和元年9月改定

最終更新:2023年4月26日
監修医師:聖路加国際病院救急部 清水真人

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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