亀田総合病院
8ヶ月前
亀田総合病院リウマチ・膠原病・アレルギー科の専門医が担当する新連載をお届けします。 リウマチ・膠原病診療に関わるさまざまな疑問とそのTipsについて、 分かりやすく解説します (第2回解説医師 : 葉末亮先生) 。
抗CCP抗体 (anti-cyclic citrullinated peptide antibody) は、 リウマチ因子 (RF) とならび、 関節リウマチで陽性になりやすい抗体です。 どのような時に測定すればよいかは、 下表の米国リウマチ学会 (ACR) /欧州リウマチ学会 (EULAR)の関節リウマチ分類基準(2010)を参考にするとわかりやすくなります。
同分類基準では、 適応する前に最低限満たすべき要件が2点記載されています。
①腫脹関節が最低1つはあること
②他の関節炎では説明がつかないこと
上記を満たした場合に、 RF/抗CCP抗体を含む各所見に点数が付けられます。
つまり、 関節痛のみで測定しても有用性は低く、 明らかな痛風/偽痛風・化膿性関節炎と判断できる時も同様、 ということになります。
現在日本国内で一般的に使用されている試薬は第2世代のものです。
細かな測定方法は下記のように違いはありますが、 検査の精度はほぼ同等であり、 感度は75%前後、 特異度は93-100%とされています。
どのような集団で測定しているかに注意が必要ですが、
と考えてください。
抗CCP抗体は、 RFと比較して特異性の高い検査ですが、 他の疾患でも陽性になることがあります。 以下のような疾患には注意しましょう。
本記事では区別しませんでしたが、 正確にいうと抗CCP抗体は 「検査名」 であり、 生体内に 「CCP」 という物質は存在していません。
CCPは、 フィラグリンという蛋白質の一部を試験管内で合成した上で、 アルギニンをシトルリンに変換 (シトルリン化) し、 2つのセリンをシステインに置換して環状となった、 人工の環状シトルリン化ペプチドのことを指します。
関節リウマチ患者の血中にはシトルリン化蛋白/ペプチドを認識する抗体 (ACPA : anti-citrullinated peptide/protein antibody) があることがわかっています。 そこで、 それらを検査で検出するために開発されたのがCCPという物質です。
2024年5月時点で、 日本で主に使用されているのは第2世代の抗CCP抗体であり、 「抗CCP2抗体」 とも呼ばれます。 なお、 検査に使用されるペプチドの配列は非公開になっています。
実際上は、 抗CCP抗体=ACPA、 として問題はありませんが、 豆知識として知っておいても良いと思います。
Ann Rheum Dis. 2010 Sep;69(9):1580-8.
日臨免疫会誌. 2013. 36(2):106.
J Clin Invest 1998;101(1):273-281
Arthritis Rheum. 2009 Nov 15;61(11):1472-83.
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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