海外ジャーナルクラブ
8日前
Lénaらは、 進行非小細胞肺癌 (NSCLC) 患者を対象に、 ニボルマブ+イピリムマブ併用療法の有効性および安全性を第Ⅲ相非盲検無作為化比較試験ENERGYで検討した。 その結果、 ニボルマブ+イピリムマブ併用療法は対照群 (白金製剤ベースの2剤併用化学療法) と比較し、 全集団においては全生存期間 (OS) の有意な延長は得られなかったが、 全身状態 (ECOG PS) が0-1で70歳以上のサブグループにおいてはOSの改善が見られた。 本研究は、 Lancet Respir Med誌にて発表された。
結果の解釈は本文中に再三繰り返されていますが、 「ECOG PSが0-1で70歳以上の患者集団でさらなる研究は必要である」 ということになります。
進行NSCLCにおいて、 抗PD-1抗体および抗CTLA-4抗体を併用する治療法は化学療法よりも優れていることが知られている。 しかし、 70歳以上の高齢者またはECOG PS 2の患者における免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) エビデンスは乏しいため、 このような患者への治療効果を検証する必要があった。
対象はステージⅣの非小細胞肺癌で発癌性変異がない、 ECOG PS 0~2の70歳以上の患者、 またはECOG PS 2の70歳未満の患者であり、 以下の群に1 : 1の割合で無作為に割り付けられた。
主要評価項目はOS、 副次評価項目は無増悪生存期間 (PFS)、 安全性と設定された。
各患者集団のOS中央値は以下の通りであった。
全集団
ニボルマブ+イピリムマブ群で長かったが、 有意差はなかった。
HR 0.85、 95%CI 0.62-1.16
ECOG PS 0-1で70歳以上の患者
ニボルマブ+イピリムマブ群でOS中央値が有意に延長した。
HR 0.64、 95%CI 0.46-0.96
ECOG PS 2で70歳以下の患者
対照群で数値的にはOS中央値が長かったものの、 両群で有意差はなかった。
HR 1.32、 95%CI 0.82-2.11
新たな安全性シグナルは報告されなかった。 最も頻繁に発生したGrade 3以上の有害事象は、 ニボルマブ+イピリムマブ群では内分泌障害 (5%)、 心疾患 (10%)、 消化器障害 (11%) であり、 対照群では好中球減少症 (27%) であった。
著者らは 「本試験では、 全体集団においてニボルマブ+イピリムマブ併用療法の有益性は示されなかった。 早期終了のため、 本試験は主要および副次評価項目に対して十分な統計的検出力を持たなかったものの、 ECOG PSが0-1で70歳以上の患者集団では生存率の延長が確認された。 これにより、 高齢NSCLC患者への免疫療法の可能性が示唆され、 今後のさらなる研究の必要性が示された」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。