海外ジャーナルクラブ
10日前

大分大学医療倫理学教授の今井浩光氏らの研究グループは、 野生型ALDH2 (ALDH2 *1/*1) を有する健康な日本人成人男性13例を対象に、 飲酒中の飲水 (チェイサー) がエタノールの体内動態と二日酔い症状に及ぼす影響をクロスオーバー・デザインの無作為化比較試験で検討した。 その結果、 チェイサーによる呼気中のエタノール濃度の変化や翌日の二日酔い症状の軽減は認められなかった。 試験結果はFront Pharmacol誌に発表された。
本研究デザインでは、 アルコールと水を交互に摂取する効果と、 アルコールを約2倍に希釈して摂取する効果を区別できません。 また、 試験飲料として日本酒を使用しており、 糖類や発酵由来成分が薬力学的評価に影響した可能性を否定できません。
二日酔いは頭痛や倦怠感といった不快な症状をもたらし、 自動車の運転能力や産業現場での作業能力を低下させる可能性がある。 飲酒の合間の飲水 (いわゆるチェイサー) による二日酔いの軽減効果は経験的に知られていたが、 その効果が検証されたことはなかった。
本研究は、 飲酒中の間欠的な飲水がエタノールとアセトアルデヒドの体内動態に影響を与えるのか、 また翌日の精神運動機能検査と自覚症状で評価した二日酔い症状を軽減するのかを明らかにする目的で実施された。
対象は野生型ALDH2 (ALDH2 *1/*1) の健康な日本人成人男性13例である。 2×2クロスオーバー・デザインによる無作為化比較試験として実施され、 13例が以下の2つの条件のいずれかに無作為に割り付けられ、 その後もう一方の条件にクロスオーバーした。
飲酒前、 飲酒直後、 飲酒後15時間までの複数時点で、 呼気中のエタノール濃度およびアセトアルデヒド濃度、 DSST*、 視覚アナログスケール (VAS) による主観的な酩酊症状スコアを測定した。 呼気中のエタノール濃度およびアセトアルデヒド濃度はセンサーガスクロマトグラフィーで定量し、 両条件間の呼気中濃度と薬力学的指標の差は線形混合効果モデル**で評価した。
飲水群と対照群の間に呼気中エタノールおよびアセトアルデヒドの体内動態の差は認められなかった。
DSSTスコアは両群で概ね同程度であった。 VASで評価した顔面紅潮、 頭痛、 悪心、 集中力、 眠気、 気分高揚の自覚症状についても飲水群と対照群の間に差は認められなかった。
著者らは、 「本試験では、 飲酒中に間欠的に水を摂取してもエタノールの体内動態や薬力学的指標に有意な変化は認められず、 二日酔い症状にも影響を及ぼさないことが示された」 と結論。 また、 「一般に認識されている飲酒中の飲水による二日酔い症状の軽減は、 飲水によってアルコールの摂取量が抑えられ、 飲酒量が減ること、 また飲酒のペースも遅くなることが影響している可能性がある」 と考察している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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