海外ジャーナルクラブ
6ヶ月前
Aggarwalらは、 米食品医薬品局 (FDA) の有害事象報告システムを用いた横断研究において、 抗PD-1/PD-L1抗体と偽癌性軟属腫 (ケラトアカントーマ) および皮膚扁平上皮癌 (cSCC) との関連について検討。 その結果、 有意な関連が認められた。 本研究はJAMA Dermatolにおいて発表された。
Impactの強い研究結果ですが、 レセプトデータベース研究の限界で研究仮説の提唱に留まります。 結論ではsuggestを使用していますが、 might be undiagnosed and untreatedとしたほうがより科学的です。
抗PD-1/PD-L1抗体は、 悪性黒色腫やメルケル細胞癌、 局所進行性転移性cSCCの治療薬として承認されている。 抗PD-1/PD-L1抗体と高分化型原発性cSCCのサブタイプであるケラトアカントーマとの間の安全性シグナルは、 FDAによって評価されている。 本解析は、 抗PD-1/PD-L1抗体とケラトアカントーマおよびcSCCとの間に有意な安全性シグナルが存在するかどうかを明らかにすることを目的とした。
横断研究。 disproportionality analysis(不均衡分析)を実施し、 安全性シグナルを同定した。
FDAの有害事象報告システム (FAERS) による有害事象報告
PD-1/PD-L1使用中にケラトアカントーマ/cSCCを最も発症しやすかったのは、 60~79歳の患者であった。
ROR : 9.7 (95%CI 7.1-13.3)
ROR : 3.0 (95%CI 2.5-3.4)
著者らは、 「ケラトアカントーマおよびcSCCにおいて、 抗PD-1/PD-L1抗体と間に有意な安全性シグナルが認めたものの、 全てのケラトアカントーマやcSCC症例がFAERSに報告されているわけではないため、 症例数は過小評価されている可能性がある」 と述べている。 また、 disproportionality analysisでは因果関係は明らかにならないことから、 今後のさらなる症例報告や症例対照研究、 無作為化比較試験が必要である点を研究の限界として挙げている。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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