医療の最前線から
6ヶ月前

世界の注目総説論文を紹介する 「医療の最前線から」。 今回は 2025年5月にJAMA誌に掲載された 「子宮内膜症」 を取り上げます。 子宮内膜症は推定で生殖年齢女性の最大10%にみられ、 骨盤痛や不妊の大きな原因です。 本レビューは、 診断遅延の現状から最新治療までを網羅し、 図表や写真が多彩で、 豊富な情報量と読みやすい構成が特徴です。
💡 各サブタイプの特徴と鑑別疾患
💡 病態生理学
💡 骨盤痛を有する患者の身体検査
💡 診断アルゴリズムと第一選択治療
原著論文で詳細を確認する
Endometriosis: A Review. JAMA. 2025 May 5. Epub ahead of print. PMID: 40323608.
子宮内膜症は診断までに時間を要するとされています。 発症から診断まで平均5-12年かかり、 多くの患者で診断までに3人以上の医師を受診していたとのことです。
また、 子宮内膜症患者の90%が骨盤痛、 26%が不妊を経験し、 症状と画像所見だけで診断をつけて早期にホルモン治療を開始することで QOL低下を最小限に抑えられるとされています。
経腟超音波は、 卵巣チョコレート嚢胞の診断において手術視認所見と比較して高い感度 (93%) および特異度 (96%) を示しました。 一方で、 深部子宮内膜症に対する感度は中等度 (79%)、 表在性腹膜病変に対しては感度が低い (65%) という結果でした。
💡 各画像検査における感度と特異度に関するエビデンスが詳細に記載されています。
15件の無作為化比較試験によるネットワークメタ解析では、 すべてのホルモン療法が、 視覚的アナログスケール (0~100) を用いた測定で、 最小臨床的重要差 (10㌽) を上回る有意な疼痛軽減効果を示したと報告されています。 具体的には、 プラセボと比較して、 以下のような骨盤痛の平均減少が認められました。
- 経口避妊薬 -15.1㌽
- 経口プロゲスチン -12.6㌽
- 筋注プロゲスチン -13.2㌽
- 筋注GnRHアゴニスト -15.7㌽
一方、 58件の研究を対象としたシステマティックレビューによると、 ホルモン療法を受けた女性のうち11-19%は痛みの軽減がみられず、 また5-59%の患者では治療終了時にも何らかの疼痛が残存していたと報告されています。
💡 各薬剤の用量、 機序、 臨床試験結果、 有害事象、 追加備考がTableで詳細にまとめられています。
術後にホルモン治療を行わなかった場合の手術成績について検討したシステマティックレビューでは、 病変切除後の再発性疼痛が15.8%の患者に認められたと報告されています。
一方、 術後ホルモン療法による抑制効果を検討したメタアナリシスでは、 追跡期間中央値18ヵ月において、 子宮内膜症の再発率がホルモン療法群で10.7%、 非治療群で26.4%とされ、 再発リスクは低下していました (RR 0.41)。
さらに、 術後の疼痛に関する別のメタアナリシスでは、 ホルモン抑制療法が無治療またはプラセボに比べて疼痛スコア低下と関連しており、 標準化平均差は-0.49と報告されています。
💡 「手術の有効性を支持するエビデンスは、 今のところ限られている」 と述べられています。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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