【専門医寄稿】ESMO 2023 肺癌の領域別トレンド解説
著者

HOKUTO編集部

1年前

【専門医寄稿】ESMO 2023 肺癌の領域別トレンド解説

【専門医寄稿】ESMO 2023 肺癌の領域別トレンド解説

肺癌だけでもN Engl J Med 誌(ESMO 2023発表同時掲載)から4報、 と日常臨床を変えるデータがこれでもかと発表されました。 スペースの関係で割愛せざるをえませんが、 ここ1~2年で実臨床に影響してきそうなものを中心に紹介します (解説:和歌山県立医科大学附属病院 赤松弘朗氏)

周術期NSCLC

ALINA試験

術後アレクチニブはALK陽性NSCLCの再発・死亡リスクを76%低減

(ESMO2023 Abstract#LBA2)
ALK 陽性非小細胞肺癌 (NSCLC) に対するアレクチニブで無病生存期間 (DFS) が著明に延長。 ADAURAに続く周術期への分子標的薬導入が期待されます。 ただし、 こちらは化学療法なしというデザイン。

KEYNOTE-671試験

術前・術後のペムブロリズマブで切除可能NSCLCのOSを有意に延長

(ESMO2023 Abstract#LBA56)
周術期のICI療法において初めて全生存期間(OS)の有意な延長が示されました (ペムブロリズマブ+化学療法→手術→ペムブロリズマブ)。 今後は術前のみのCheckMate 816試験との使い分けで議論を呼びそうです。

進行期NSCLC

EGFR変異陽性:MARIPOSA試験

amivantamab+lazertinibがEGFR陽性未治療NSCLCでPFS改善

(ESMO2023 Abstract#LBA14)
MET/EGFR抗体amivantamab+第三世代EGFR-TKI lazertinibがオシメルチニブに比較して有意なPFS延長を示しました。 OSも良さげな傾向が示され、 遂にオシメルチニブの時代が終わるかもしれません。

EGFR uncommon変異陽性:ACHILESS試験

sensitizing uncommon EGFR陽性未治療NSCLCでアファチニブが著効

(ESMO2023 Abstract#LBA66)
EGFR uncommmon変異に対してアファチニブがプラチナ+PEMに比してPFSにおいて有意な延長を示しました。 期待されていた結果とはいえ、 第Ⅲ相試験をきっちり完遂した素晴らしい結果です。

EGFR exon20挿入変異陽性:PAPILLON試験

amivantamab+化学療法でEGFR exon20挿入変異陽性進行NSCLCのPFS改善

(ESMO2023 Abstract#LBA5)
PAPILLON試験において、 化学療法+amivantamabによって有意なPFS延長が示されました。 化学療法と分子標的薬の併用はFLAURA2などさまざまな臨床試験の結果が出つつあります。

ドライバー遺伝子変異陽性:ATTLAS試験

EGFR/ALK 陽性NSCLCへのABCP療法でPFS延長もOSは同等

(ESMO2023 Abstract#LBA67)
ドライバー遺伝子変異陽性のNSCLCに対しては、 ABCPレジメン(アテゾリズマブ+ベバシズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル併用療法)をプラチナ製剤+ペメトレキセド併用療法と比較した韓国からの第Ⅲ相試験ATTLAS試験が報告。 PFSは前者が有意に延長するものの、 OSは同等であり、 ほろ苦い結果となっています。

ドライバー遺伝子陰性・2次治療:TROPION-Lung01試験

既治療進行NSCLCでDato-DXdはDTXと比べてPFSを有意に延長

(ESMO2023 Abstract#LBA12)
ドライバー陰性・2次治療ではTrop2に対する抗体薬物複合体datopotamab deruxtecan(Dato-Dxd)とドセタキセルを比較する第Ⅲ相試験が公表。 肺癌領域初のpositive studyとなりましたが、 PFSの延長は7ヵ月、 OSは有意差なしとこちらも渋い結果となりました。 ドセタキセル+ラムシルマブ的な立ち位置に甘んじるのか、 絶対的な2次治療になるのか。
【専門医寄稿】ESMO 2023 肺癌の領域別トレンド解説

ポストのGif画像
【専門医寄稿】ESMO 2023 肺癌の領域別トレンド解説の全コンテンツはアプリからご利用いただけます。
臨床支援アプリHOKUTOをダウンロードしてご覧ください。
今すぐ無料ダウンロード!
こちらの記事の監修医師
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
QRコードから
アプリを
ダウンロード!
HOKUTOのロゴ
HOKUTOのロゴ
今すぐ無料ダウンロード!
様々な分野の医師
様々な分野の医師
【専門医寄稿】ESMO 2023 肺癌の領域別トレンド解説