重症熱性血小板減少症候群 (SFTS) 診療の手引き2024年版、 公開
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HOKUTO編集部

5ヶ月前

重症熱性血小板減少症候群 (SFTS) 診療の手引き2024年版、 公開

重症熱性血小板減少症候群 (SFTS) 診療の手引き2024年版、 公開
「一類感染症等の患者発生時に備えた臨床対応及び行政との連携体制の構築のための研究」  (令和6年度新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業) において、 「重症熱性血小板減少症候群 (SFTS) 診療の手引き 2024年版」 が改訂され、 厚生労働省ホームページにて公表された。 5年ぶりの改訂として新たな知見等が追加された。

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SFTSについて (編集部まとめ)

重症熱性血小板減少症候群 (SFTS) 診療の手引き2024年版の基本ポイントのみを以下にまとめる。

2011年に始めて報告された新興感染症

SFTS (Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome; 重症熱性血小板減少症候群) は、 SFTSウイルスによる新興感染症であり、 2011年に中国で初めて報告された。

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重症熱性血小板減少症候群(SFTS)診療の手引き2024年版より

マダニ媒介性のウイルス性出血

この疾患はアジア地域に分布するマダニ媒介性ウイルス性出血熱であり、 高致死率や出血症状が特徴である。 日本では2013年に初めて患者が確認された。

感染経路はマダニ、 伴侶動物、 患者・遺体

SFTSウイルスはマダニの吸血によって人間や動物に感染する。 発症した伴侶動物 (犬や猫) からの感染も報告されている。 患者・遺体など医療従事者にとっても職業感染のリスクがある。

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重症熱性血小板減少症候群(SFTS)診療の手引き2024年版より

約1~2週間の潜伏期間後に発症

SFTSは6~14日の潜伏期を経て、 発熱、 倦怠感、 消化器症状などで発症する。

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重症熱性血小板減少症候群(SFTS)診療の手引き2024年版より

診断には、 白血球減少や血小板減少、 トランスアミナーゼ高値が参考になる。 重症例では多臓器不全や出血傾向が見られ、 致死率は約27%である。

合併症は血球貪食症候群、 急性脳症、 消化管出血・出血傾向、 菌血症、 侵襲性肺アスペルギルス症、 急性腎障害、 心機能障害・心筋炎、 横紋筋融解症など

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重症熱性血小板減少症候群(SFTS)診療の手引き2024年版より

なお、 SFTSの臨床像と血球貪食症候群 (HPS) の臨床像は類似しており、 SFTSウイルス感染症がHPSを誘発していると考えられる。

HPSではCRP高値、 脾腫を認めることが多いが、 SFTSの経過中にこれらを認めることは稀

🔢血球貪食症候群の診断基準 (HLH-2004)

1または2が満たされればHLHと診断する
 1) 家族性に認められる遺伝子異常を有する
 2) 以下の8つのうち5つ以上を満たす
  • 持続する高熱
  • 脾腫
  • 2系統以上の血球減少
  • Hb <9g/dL
  • 血小板<10万/µL
  • 好中球<1,000/µL
  • 高TG血症 (空腹時≧265mg/dL) および/または低フィブリノゲン血症 (≦150mg/dL)
  • 骨髄、 脾臓またはリンパ節における血球貪食像 (かつ悪性腫瘍の所見なし)
  • NK細胞活性の低下あるいは消失
  • 血清フェリチン値≧500 ng/ml
  • sIL-2R≧2,400 U/ml

RT-PCR検査確定後、 支持療法が主体

診断は臨床症状と患者の曝露歴に基づき、 RT-PCR検査で確定する。 治療には支持療法が主体である。

病状の進行が予期される場合には、 抗ウイルス薬 ファビピラビルを検討

2024年に承認された抗ウイルス薬ファビピラビル (アビガン®)の使用が推奨されるが、 ステロイド、 免疫抑制薬の有効性は確立されていない。

ファビピラビルについて

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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