医師のためのLIFESTYLE特集
2年前
11月17日はボジョレー・ヌーボーの解禁日。 今回はワインにちなんだ一風変わった考察を紹介する。 「おもしろ論文」 でおなじみのBritish Medical Journal (BMJ) 誌のクリスマス特集号から。
アルコールは多くの疾患の危険因子として知られる。 英国ではアルコール消費量が増加傾向にあり、 ケンブリッジ大の研究グループは 「ワイングラスの大きさも関連しているのでは」 と仮説を立てた。
この仮説は、 過去100年間で食器類が大きくなったことが摂取カロリーを増加させ、 肥満につながっているとの学説に基づいている。
研究グループは、 ワイングラスが使われるようになった1700年から2017年までに、 オックスフォード大の美術館やオークションサイトなどから計411個のグラスを収集し、 それぞれの容量を測定した。 その結果が以下のイメージ図だ。
1700年代に66 mLだった容量が、 緩やかに大きくなり、 2000年代は417 mLに。 その後さらに大型化のペースが加速し、 2016~2017年には449 mLに達した。 この300年で約7倍になった計算だ。
研究グループは 「ワインを多く飲んでもらうための販売促進や、 テイスティングなどに大きいグラスが適していたなどの要因があるだろう」 と考察している。
研究グループは 「グラスの大きさとワイン消費量の間に因果関係があると推定できず、 グラスを小さくすれば飲酒量が減るという推論もできない」 とした上で、 「グラスが大きくなっているという事実は、 ワイン消費量の増加に何らかの形で寄与している可能性がある」 と考察する。
その根拠の一つに、 人が基本的に単位 (例えばケーキ1個、 コーヒー1杯) ごとに消費することを挙げている。 つまり、 同じ単位 (例えばグラス3杯) ならばグラスを小さくすることで、飲酒量も一定程度抑えられるかもしれない、 というわけだ。
研究グループは、 ワイングラスのサイズを抑えることでアルコール消費量を減少でき、 健康被害を防止できる可能性があるのではないかと述べている。
日本酒好きな筆者は、 この考察とは違う印象を持った。 日本酒のおちょこはワイングラスに比べて小さいが、 あっという間に1本 (720mL) 飲んでしまうことも多いからだ。
むしろ、 日本酒を大きいコップに入れた方が一杯あたりの満足感が高く、 飲酒量を抑えられるような気もする。 ワインと日本酒を同列に並べて考えることに無理があるのか。
この考察、 あなたはどう思いますか?原文はBMJホームページへ。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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