HOKUTO編集部
26日前
2024年11月8~15日に、 消化器内科・消化器外科・腫瘍内科のHOKUTO医師会員を対象に上記のアンケートを実施しました。 その結果、 461人 (内科系 : 274人、 消化器外科 : 187人) から回答が得られ、 最も回答が多かったのは 「遠隔転移がCR」 で 70.5%を占めました。 次いで大きく差はあるものの、 20.2%が 「遠隔転移がPR」、 9.3%が 「遠隔転移がSD」 と回答しました。
▼内科系 (消化器内科、 腫瘍内科)
内科系 (合計274人、 消化器内科 : 240人、 腫瘍内科 : 34人)では 「遠隔転移がCR」 と回答した人が72.6%を占め、 次いで、 「遠隔転移がPR」 が20.8%、 「遠隔転移がSD」 が6.5%という結果となりました。
▼外科系 (消化器外科)
外科系 (消化器外科 : 187人) では 「遠隔転移がCR」 が67%、 「遠隔転移がPR」 が 19%、 「遠隔転移がSD」 が14%で回答という結果になりました。
▼診療科別の回答の内訳
診療科別では「遠隔転移がCR」と回答した人が消化器内科で73.3%、 腫瘍内科で67.6%と、 内科系で多い割合となりました。 逆に、 「遠隔転移がSD」と回答した人は消化器外科で13.9%と多くなりました。
▼年代別の回答の内訳
年代別にみると、 全年齢ともに「遠隔転移がCR」と回答する人が最も多い割合を占めました。 一方で、 「遠隔転移がSD」と回答した人は60代以降が最も多く (15.2%)、 20代が最も低い (3.4%) という対照的な結果となりました。
「少数の」 遠隔転移を伴うstage IV胃癌に対するコンバージョン手術の考え方について内科・外科医に広くアンケート調査を実施した。 背景としては、 『胃癌治療ガイドライン 医師用 2021年7月改訂 第6版』のCQ10 「Oligo metastasisに対する外科治療は推奨されるか?」 と以下の推奨文が十分に臨床現場に浸透した時期と考えられるためである¹⁾。
【推奨文】
No.16a2/b1に限局した少数の大動脈周囲リンパ節転移に対しては、 術前化学療法後の外科的切除を弱く推奨する。 また、 単発の肝転移は、 他に非治癒切除因子がない場合、 外科的切除を弱く推奨する。
(合意率100% (7/7)、 エビデンスの強さC)
常識的には遠隔転移が消失することがコンバージョン手術を決断する最低限の条件と考える医師が多いのは当然である。 消化器内科73.3%、 消化器外科67.4%、 腫瘍内科67.6%と、 7割前後の医師が専門領域に関わらずCRを条件と考えている。
一方、 残り3割前後の医師では、 non-CRであっても手術に期待している点では、 その比率は診療科ごとに大きな違いはない。 ただし、 消化器外科医は13.9%で 「遠隔転移がSDでも手術を考慮したい」 との意向であり、 「遠隔転移を手術で制御できるのではないか」 という意識が相対的に高い傾向が窺える。
年代別のサンプル数に偏りがあるため%の数値のみで判断することは難しいが、 なかなか面白い傾向が認められる。
遠隔転移がSDであっても手術を考慮する割合は、 60歳代以降の年代で15.2%と最多であり、 ベテラン医師ではSDであれば、 切除のメリットが大きいと考える傾向があるようだ。 20歳代では3.4% (29人中1人) のみであり、 手術への期待値は低かった。
20歳代では、 おそらくは実体験として成功体験が少ないことも背景にあるのかもしれない、 一方では、 ベテラン医師は、 少数の成功体験でnon-CR症例であっても、 コンバージョン手術によって長期生存症例を経験している可能性が高い。
現時点のアンケート調査では、 ICI治療後のコンバージョン症例の経験はまだまだ少数かもしれないが、 CR・PR症例が増加している背景を考慮すると1~2年後の同様のアンケート調査では、 手術への期待値が上昇する可能性がある。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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