HOKUTO通信
2年前
自称研修医が 「お医者さんへの謝礼・心付けは絶対に渡した方がいい。 それも入院手術の『前』に渡さないと意味ない」 と投稿したTwitterが話題になっている。 細かな金額まで具体的に記しており、 5月23日午前10時時点で303万回以上閲覧されている。
「流石にコレを医者が発信はNG('ω'乂)NG」 「引っ越し業者に缶コーヒー渡す癖して、 家具より大事な命預ける人に何も渡せない訳ないよな」(いずれも原文ママ) 。 Twitter上では賛否両論の意見が巻き起こっている。
この人物は、医師への謝礼について 「表向きは不要だが、結局は医者も人間。対応やオペの丁寧さに必ず差が出る」 とし、 「謝礼の相場は3〜50万円。研修医がいれば1〜3万円。ただ、麻酔医に渡すと金ドブなので要注意。 渡しても五千円」 とツイート。
さらに 「私は身内がお世話になる主治医には必ず5万円以上は渡すようにしている」 「ちなみに私は医者としてきっぱり受け取らない。 もし私が患者の立場なら払うって話」 などと続けている。
ツイートの真偽や賛否はさておき、 一昔前に比べれば減ったものの、 医師に謝礼を渡そうとする患者がいるのは事実。 ルールとして謝礼の受け取りを禁止している施設もあるが、 受け取るかどうかで対応に頭を悩ませた医師も多いだろう。
日本医師会は医師の職業倫理指針 (第3版) で、 「患者から謝礼を受け取ることは、 その見返りとして意識的か否かを問わず何らかの医療上の便宜が図られるのではないかという期待を抱かせ、 さらにこれが慣習化すれば結果として医療全体に対する国民の信頼を損なうことになるので、医療人として慎むべき」 としている。
ただ実際の現場では、「受け取る、 受け取らないの押し問答になり、仕方なくもらうケースもある」 「菓子折りの袋に現金の封筒が入っており、 慌てて返そうとしたがもう帰ってしまっていた」 (都内の医師) など、 断りきれないというケースも多い。
医療系メディア大手 「m3」 が2022年末、 医師会員1000人に患者からの謝礼について対応を調査したところ、 「基本的に受け取る」 「必ず受け取る」 を合わせると約4割だった。 一方、 「基本的に断る」 「必ず断る」 は5割弱だった。
患者から謝礼を受け取ることは法的に問題はないのか。 端的に言うと、 医師が公務員であるかどうかで結論が変わる。
公務員ではない医師が謝礼を受け取ることは原則問題はない。 ただ、 職場のルールで禁止されている場合、 懲戒事由となる可能性がある点に注意が必要だ。 一方、 医師が公務員の場合、 謝礼の受け取りは収賄罪になる可能性がある。
また、 謝礼は税法上、 開業医は「事業所得」 、 勤務医は 「雑所得」 に当たる。 いずれも原則課税対象となる点も注意したい。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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