海外ジャーナルクラブ
9ヶ月前
Mannu氏らは、 1990~2018年に検診以外で発見された非浸潤性乳管癌 (DCIS) の女性を対象に、 DCISにおける浸潤性乳癌および乳癌死の長期的なリスクについて、 イングランド住民ベースのコホート研究で検証した。 その結果、 DCIS患者は診断後少なくとも25年間、 一般集団の女性と比較して浸潤性乳癌および乳癌死のリスクが高いことが示された。 本研究はBMJ誌において発表された。
こういうimpactのある疫学研究はどのように結果を臨床現場に応用していくかが大切です。 現状ですと本文内にThese findings should inform considerations regarding the frequency and duration of surveillance following a diagnosis of ductal carcinoma in situ. とあるだけですので更なる研究が期待されます。
検診以外で検出されたDCIS女性患者について、 一般集団の女性および検診でDCISが検出された女性と比較して、 浸潤性乳癌と乳癌死に関連する長期的リスクを評価する。
1990~2018年に英国国民保健サービス (NHS) の乳房検診プログラム以外でDCISと診断されたイングランドの女性
住民ベースのコホート研究
浸潤性乳癌の発症率、 乳癌による死亡率
DCIS診断時年齢別の浸潤性乳癌および乳癌死の25年累積リスク
浸潤性乳癌の発症率
検診以外でDCISと診断された女性の浸潤性乳癌発症率は、 国の癌罹患率から予測される値の4倍以上であった。
実測値/予測値の比 4.21 (95%CI 4.07-4.35)
45~70歳未満の女性においては、 実測値/予測値の比は追跡期間を通じて増加したままであった。
乳癌による死亡率
一般集団における予測値の約4倍であった。 実測値/予測値の比は追跡期間を通じて増加したままであった。
実測値/予測値の比 3.83 (95%CI 3.59~4.09)
DCIS診断時における年齢別の浸潤性乳癌および乳癌死の25年累積リスク
NHSによる乳房検診の対象であった50~64歳の女性において、 検診以外で発見された乳管癌と、 検診で発見された乳管癌における浸潤性乳癌の実測値/予測値の比は1.26 (95%CI 1.17-1.35) であり、 乳癌死亡率の同比は1.37 (同1.17-1.60) であった。
治療法ごとの同側浸潤性乳癌の25年累積発生率 (95%CI)
手術を受けた片側乳管癌 (2万2,753例) のうち、 乳房切除術を受けた女性は、 同側浸潤性乳癌の25年累積発生率が低かった。
治療法ごとの乳癌起因の25年累積死亡率 (95%CI)
25年累積死亡率の低下には結びつかなかった。
検診以外で発見されたDCISの女性は、 一般集団および検診でDCISが検出された女性に比べて、 浸潤性乳癌および乳癌死の長期的なリスクが高いことが示された。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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