【LIBRETTO-431】新規/既存の脳転移にも有効―RET陽性進行NSCLCへのセルペルカチニブ
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HOKUTO編集部

3ヶ月前

【LIBRETTO-431】新規/既存の脳転移にも有効―RET陽性進行NSCLCへのセルペルカチニブ

【LIBRETTO-431】新規/既存の脳転移にも有効―RET陽性進行NSCLCへのセルペルカチニブ
RET融合遺伝子陽性の進行非小細胞肺癌(NSCLC)患者を対象に、 RET阻害薬セルペルカチニブの有効性および安全性を、 化学療法+抗PD-1抗体ペムブロリズマブを対照に検証した第Ⅲ相無作為化比較試験LIBRETTO-431の追加解析の結果から、 セルペルカチニブは新規/既存の脳転移に対しても有効であることが示された。 国立がん研究センター東病院呼吸器内科長/副院長の後藤功一氏が発表した。

背景

既報の中間解析結果から、 セルペルカチニブは既にガイドライン上で推奨

LIBRETTO-431試験¹⁾の中間解析の結果、 セルペルカチニブ群は対照群に比べて有意に無増悪生存期間 (PFS) を延長させたことが既に報告されており、 現行の 「肺癌診療ガイドライン 2023年版」 ではRET融合遺伝子陽性NSCLCへの治療選択肢としてセルペルカチニブが推奨されている²⁾。

また、 LIBRETTO-001試験³⁾では、 セルペルカチニブが中枢神経系 (CNS) を保護し、 既存の脳転移の改善および新規脳転移の出現を予防または遅延させる可能性が示唆された。

LIBRETTO-431試験の対象と方法
【対象】 ⅢB-Ⅳ期で転移病変に対する全身療法歴がないECOG PS 0~2のRET融合遺伝子陽性進行NSCLC患者
【方法】全261例を2 : 1で2群に無作為に割り付けた
- セルペルカチニブ160mg1日2回 : 159例
- CBDCA/CDDP + PEM±ペムブロリスマブ群 : 102例

本研究では新規・既存の脳転移への追加解析を実施

今回の研究では、 セルペルカチニブの中枢神経系保護作用に焦点を当てた新規・既存の脳転移への効果について検証が行われた。

評価項目はベースラインでの脳転移有無別の成績 (頭蓋内病勢進行までの時間、 頭蓋内奏効率 [ORR]、 頭蓋内奏効期間[頭蓋内DOR] など) だった。

>>東アジア人の有効性の追加解析はこちら

結果

適格患者は192例

脳転移に対する有効性解析では、 LIBRETTO-431試験の対象患者のうち、 CNS評価が可能でベースラインおよび投薬中に1回以上中枢神経系のスキャンを受けた患者 (CNS-pembro) 192例が対象となった。

  • セルペルカチニブ群 : 120例
うち、 脳転移なし99例、 脳転移あり21例
  • 対照群 : 72例
うち、 脳転移なし51例、 脳転移あり21例

患者背景は両群で同様

両群間のベースライン特性は概ね同様だったが、 セルペルカチニブ群では対照群に比べ、 盲検下独立中央判定 (BICR) に基づくベースラインの脳転移、 およびCNS放射線治療歴のある患者の割合がわずかに少なかった。

新規/既存の脳転移にも有効性を示した

ベースライン脳転移の有無にかかわらず、 セルペルカチニブ群では対照群に比べて新規脳転移の発現を遅延し、 既存脳転移への効果が示された。

ベースライン脳転移なし集団

12ヵ月時点のCNSの病勢進行(PD)累積発生率

  • セルペルカチニブ群 : 1.1%
(95%CI 0.1-5.2%)
  • 対照群 : 14.7%
(同5.7-27.6%)
HR 0.17 (95%CI 0.04-0.69)

12ヵ月時のCNS以外のPD累積発生率

  • セルペルカチニブ群 : 20.3%
(95%CI 12.6-29.3%)
  • 対照群 : 35.6%
(同21.7-49.8%)
HR 0.48 (95%CI 0.27-0.84)

12ヵ月時の死亡累積発生率

  • セルペルカチニブ群 : 3.2%
(95%CI 0.8-8.3%)
  • 対照群 : 4.0%
(同0.7-12.3%)
HR 0.73 (95%CI 0.12-4.39)

CNSの12ヵ月PFS率

  • セルペルカチニブ群 : 91.8%
(95%CI 83.4-96.0%)
  • 対照群 : 74.7%
(同54.0-87.1%)
HR 0.46 (95%CI 0.18-1.18)

ベースライン脳転移あり集団

12ヵ月時点のCNSのPD累積発生率

  • セルペルカチニブ群 : 25.7%
(95%CI 8.8-46.7%)
  • 対照群 : 33.3%
(同14.3-53.8%)
HR 0.61 (95%CI 0.19-1.92)

12ヵ月時のCNS以外のPD累積発生率

  • セルペルカチニブ群 : 21.8%
(95%CI 6.1-43.5%)
  • 対照群 : 34.0%
(同14.4-54.9%)
HR 0.45 (95%CI 0.15-1.36)

12ヵ月時の死亡累積発生率

  • セルペルカチニブ群 : 9.5%
(95%CI 1.5-26.6%)
  • 対照群 : 0.0%
(同NE-NE)
HR 7.5x10⁷ (0.00-NE) 

CNSの12ヵ月PFS率

  • セルペルカチニブ群:63.9%
(95%CI 38.5-81.1%)
  • 対照群 : 56.1%
(同28.7-76.5%)
HR 0.74 (95%CI 0.28-1.97)

ORR、 CR、 DORも良好な結果

ベースラインで測定可能または測定不能の脳転移あり集団における頭蓋内ORR、 CR率、 DORは以下の通り。

頭蓋内ORR

  • セルペルカチニブ群 : 81.0%
(95%CI 58.1-94.6%)
  • 対照群 : 57.1%
(同34.0-78.2%)

頭蓋内CR率

  • セルペルカチニブ群 : 42.9% 
(21例中9例)
  • 対照群 : 33.3% 
(21例中7例)

頭蓋内CRが得られた患者で脳転移の増悪が認められなかったのは、 セルペルカチニブ群が9例中7例、 対照群が7例中3例だった。

頭蓋内奏効期間中央値

  • セルペルカチニブ群 : 1.4ヵ月
(範囲1.2-3.0ヵ月)
  • 対照群 : 2.2ヵ月 
(同1.2-11.0ヵ月)

頭蓋内DOR中央値

  • セルペルカチニブ群 : NE
(95%CI 14.8ヵ月-NE)
  • 対照群 : NE
(同8.7ヵ月-NE)

頭蓋内DOR率

(6ヵ月時、 12ヵ月時)
  • セルペルカチニブ群 : 94.1%、 80.7%
  • 対照群 : 90.9%、 75.8%

結論

セルペルカチニブは頭蓋内にも有効

後藤氏は 「RET陽性の進行NSCLC患者において、 セルペルカチニブは、 ベースライン時の脳転移の有無に関わらず、 頭蓋内病勢進行を遅らせ、 化学療法+ペムブロリズマブと比較して高い頭蓋内ORRを達成した。 本結果は、 セルペルカチニブがRET陽性の進行NSCLC患者において、 望ましい1次治療であることを支持するものである」 と報告した。

出典

¹⁾ N Engl J Med. 2023 Nov 16; 389(20): 1839-1850.

²⁾ 日本肺癌学会編 : 肺癌診療ガイドライン2023年版. 2023.

³⁾ Lancet Oncol. 2022 Oct; 23(10): 1261-1273.

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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