HOKUTO通信
10ヶ月前
ミシュランシェフの料理を手術室にある器具で作ってみませんか――。 外科手技から着想を得た 「世界一難しい」 ともいえるユニークなレシピ集が公開された。
「The Heart Surgeon's Cookbook―心臓血管外科医のレシピ集―」 は、 米国の著名な心臓血管外科医Nirav Patel氏、 とミシュラン2つ星レストランAskaの創設オーナーFredrik Berselius氏のコラボレーションによるもの。 心臓血管手術関連機器メーカーのゲティンゲが共同制作した。
レシピ集は 「アカザエビのグリル ブラックカラント添え」 「帆立とかぶのだし仕立て」 「鶏手羽先の肉詰め」 など9つの料理を掲載。 いずれも、 メスや縫合用ハサミ、 シリンジ、 カストロビエホ持針器など手術室にある器具で調理する方法を紹介している。
例えば、 鶏手羽先の肉詰めでは、 メスで鶏手羽の内側を第一関節まで切って次の関節に向かって少しずつ肉を骨からはずしたり、 針とひもを使って鶏肉を縫い合わせたりする。 いずれも、 緻密な裁断や縫合、 狭い箇所への注入、 解剖といった外科医の手技や集中力の向上効果を狙っているという。
金沢大・心臓血管外科学教授の竹村博文氏は 「玉ねぎと血管を切るのは全くの別物で、 これさえすれば良いわけではない」 とした上で、 「業務時間以外で楽しく手技トレーニングする方法として新しい切り口。 特に若手外科医には一度試してみてほしい」 と評価する。
今年4月から始まる医師の働き方改革に伴い、 時間外労働時間に上限が設けられる。 手技レベルの向上にはこれまで以上に業務外で鍛錬する機会の確保が重要になる。 竹村氏は 「繊細な刃さばきが求められる今回のレシピ集などを通じて、 若手はとにかく手を動かす経験を積み重ねてほしい」 とエールを送った。
レシピの詳細はコチラ。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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