【Ann Intern Med】術後せん妄への非定型抗精神病薬の安全性は定型と同等
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海外ジャーナルクラブ

7ヶ月前

【Ann Intern Med】術後せん妄への非定型抗精神病薬の安全性は定型と同等

【Ann Intern Med】術後せん妄への非定型抗精神病薬の安全性は定型と同等
Kimらは、 65歳以上で精神疾患がない大手術後の患者を対象に、 術後せん妄に対する非定型抗精神疾患薬 (オランザピン、 クエチアピン、 リスペリドン) の安全性を後ろ向き全国コホート研究で検討した。 その結果、 非定型抗精神疾患薬と定型抗精神疾患薬 (ハロペリドール) を投与された術後せん妄の高齢患者において、 院内有害臨床イベントのリスクに差は認められなかった。 本研究は、 Ann Intern Med誌において発表された。 

📘原著論文

Comparative Safety Analysis of Oral Antipsychotics for In~Hospital Adverse Clinical Events in Older Adults After Major Surgery : A Nationwide Cohort Study. Ann Intern Med. 2023 Sep;176(9):1153~1162. PMID: 37665998

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

17,000症例でもその半数以上がクエチアピンが処方されています。 ハロペリドールを軸に死亡リスクを算出して有意差がありませんが、 ハロペリドール使用の推奨度が高まる結果ではありません。

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背景

術後せん妄の管理には抗精神疾患薬が一般的に用いられている。 最近の研究では、 ハロペリドールの使用は減少し、 非定型抗精神疾患薬の使用が増加していることが報告されている。

研究デザイン

対象

65歳以上で精神疾患ではない大手術後の患者:1万7,115例

介入

オランザピン (10mg以下)、 クエチアピン (150mg以下)、 リスペリドン (4mg以下)、 およびハロペリドール (開始日に4mg以下) の投与

主要評価項目

院内死亡、 不整脈イベント、 肺炎、 脳卒中または一過性脳虚血発作 (TIA) のリスク

研究結果

有効性評価

院内死亡率

院内死亡率は3.1%で、 処方率はクエチアピンが最も高かった (53.0%)。

治療群間の差

院内死亡リスクに治療群間で統計学的有意差は認められなかった。

  • ハロペリドール:3.7% (参照群)
  • オランザピン:2.8% (リスク比 (RR) 0.74、 95%CI 0.42-1.27)
  • クエチアピン:2.6% (RR 0.70、 95%CI 0.47-1.04)
  • リスペリドン:3.3% (RR 0.90、 95%CI 0.53-1.41)

非致死的臨床イベントのリスク

治療群間で統計学的有意差は認められなかった。

  • 不整脈:2.0~2.6%
  • 肺炎:4.2~4.6%
  • 脳卒中またはTIA:0.6~1.2%

結論

非定型抗精神疾患薬とハロペリドールを投与された術後せん妄の高齢患者間で、 院内有害臨床イベントのリスクに差は認められなかった。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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