海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前
AABBおよびICTMG (国際輸血医学ガイドライン合同作業グループ) は、 成人および小児における『血小板輸血の国際臨床実践ガイドライン2025』を発表した。 本ガイドラインではGRADE手法に基づき21件のRCTと13件の観察研究が評価された。
一般医にとってはエビデンスレベルを鑑みますと、 腰椎穿刺患者に血小板数<2万/μLで輸血を行う、 という点はおさえる必要がありそうです。
RCTでは制限的 vs 寛容的輸血戦略が比較された。 その結果、 制限的輸血戦略は寛容的輸血戦略と比較して、 死亡率や出血の増加を引き起こす可能性が低いことが示された。 また腰椎穿刺を受ける血小板減少症患者では、 脊髄血腫の発生率が極めて低かった。 制限的輸血戦略の定義は試験間で異なっていたため、 上記で示す推奨事項は実践的な指針としてまとめられている。
エビデンスの確実性 : 高~中程度
1万/μL未満で輸血 (*出血を伴わない化学療法中または同種幹細胞移植を受けている患者)
2.5万/μL未満で輸血 (*大出血を伴わない新生児)
2万/μL未満で輸血
輸血は行わない (*大出血を伴わない患者)
エビデンスの確実性 : 低~非常に低
予防的輸血は行わない (*出血を伴わない自家造血幹細胞移植または再生不良性貧血の成人)
1万/μL未満で輸血 (*大出血を伴わない成人)
1万/μL未満で輸血
2万/μL未満で輸血 (*低リスク手技) または
5万/μL未満で輸血 (*高リスク手技)
5万/μL未満で輸血
輸血は行わない (*重篤な出血を伴わない場合)
輸血は行わない (*抗血小板薬使用者を含む)
エビデンスは一貫して制限的輸血戦略の実施を支持している。 制限的輸血戦略は有害反応のリスクを低減し、 血小板不足を緩和し、 コスト削減にも寄与する。 血小板輸血の実施にあたっては、 全体的な臨床的背景および代替療法を検討することが望ましい。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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