HOKUTO編集部
3ヶ月前
米国臨床腫瘍学会泌尿器癌シンポジウム (ASCO GU 2025) が2月13~15日に米・サンフランシスコで開催され、 2日目は尿路上皮癌を中心とした演題が発表されました。その中でも注目度の高い、 Check Mate 274試験とNIAGARA試験に関して、 がん研有明病院総合腫瘍科部長の三浦裕司先生にご解説いただきました。
尿路上皮癌に関する研究発表が行われた2日目において、 Oral sessionにおける話題の中心は、 膀胱癌に対する周術期免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) 療法についてであり、 Q&Aセッションではこれまでにない熱い議論が繰り広げられた。
米・Fox Chase Cancer CenterのPlimack氏によるディスカッションは秀逸であり、 その後に行われたQ&Aも、 この分野のキーオピニオンリーダーらによるパネルディスカッションさながらであった。 見逃した方ももう一度振り返りたい方も、 是非オンデマンドでのご視聴をお勧めしたい。
現在、 筋層浸潤膀胱癌 (MIBC) の周術期免疫療法では、 以下の2試験の長期解析結果がそれぞれ発表されている。
❶ 根治的外科切除後の再発高リスクMIBCを対象に、 抗PD-1抗体ニボルマブ術後投与の有効性について、 プラセボを対照に評価した第Ⅲ相多施設共同二重盲検無作為化比較試験CheckMate 274
❷ シスプラチン適格MIBCを対象に、 抗PD-L1抗体デュルバルマブ+化学療法による術前療法およびデュルバルマブ術後投与の有効性について、 術前化学療法 (NAC) 単独を対照に検証した第Ⅲ相国際共同オープンラベル無作為化比較試験NIAGARA
また、 これらに加え、 術前ddMVAC (メトトレキサート+ビンブラスチン+ドキソルビシン+シスプラチン) 療法の効果を検証したVESPER試験やCOXEN (SWOG S1314) 試験の結果は既に得られているため、 どのように使い分けていくのかが世界中で課題とされている。
今回、 CheckMate 274試験において集団の約80%を占めた膀胱癌に対し、 3年フォローアップでも無イベント生存期間 (EFS)、 全生存期間 (OS) ともにニボルマブ群で良好な結果が維持されていた。
一方でNIAGARA試験では、 病理学的完全奏効 (pCR) の達成・未達成に関わらず、 デュルバルマブ群で良好な効果が示された。 同試験のnon-pCR群は、 NACを受けた後にypT1以上で病変が残存した症例と考えられる。 そのため、 CheckMate 274試験でNACを受けた集団と似たセッティングである (CheckMate 274ではypT2以上のため、 やや悪い設定と言える)。
両試験を直接比較することはできないものの、 上記の点を注意した上で2年OS率を比較してみると、 下記のとおり非常に似通った結果である。
投与前から NACの効果でpCRを達成するか否かはもちろん分からないため、 実臨床では区別することはできないが、 pCRを達成できなかった場合、 NACに免疫チェックポイント阻害薬が含まれているか否かに関わらず (NIAGARAレジメンでもCheckMate 274レジメンでも) OSにはそれ程影響していないという判断になる。
このことから、 ますますpCRを予測するためのバイオマーカーの必要性を感じた。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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