海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前

Bergmannらは、 非淡明細胞型腎細胞癌 (nccRCC) 患者の1次治療における抗CTLA-4抗体イピリムマブ (IPI) +抗PD-1抗体ニボルマブ (NIVO) 併用療法の有効性および安全性を、 標準治療 (SOC) を対照に多施設共同第Ⅱ相無作為化比較試験SUNNIFORECASTで評価した。 その結果、 上記併用療法は、 12ヵ月時において全生存 (OS) 率を有意な改善した。 本研究はAnn Oncol誌において発表された。
試験名の 「SUNNIFORECAST」 はSunny Forecastを想像させて”晴れの予報”や”明るい見通し”から前向きな展望を期待させる見事な試験名といえます。
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nccRCCは20種類以上の異なる組織型からなる不均一な疾患群だが、 大規模無作為化試験に組み入れられることは稀である。
チロシンキナーゼ阻害薬は、 免疫チェックポイント阻害薬との併用の有無を問わずSOCとみなされているが、 最適な治療法はいまだ確立されていない。
そこで、 IPI+NIVOとSOCの有効性および安全性を比較した初の前向き無作為化比較試験SUNNIFORECASTが実施された。
治療歴のない進行または転移性nccRCC患者309例が以下の2群に1 : 1で無作為に割り付けられた。
患者は組織型およびIMDCリスクスコアに基づいて層別化された。
主要評価項目は12ヵ月時のOS率、 副次評価項目*はOS中央値、 奏効率 (ORR)、 無増悪生存期間 (PFS)、 安全性、 生活の質 (QOL) などであった。
主要評価項目である12ヵ月時のOS率は、 IPI+NIVO群が78% (95%CI 71-84%) であり、 SOC群の68% (95%CI 60-75%) と比べて有意に改善した (p=0.026)。
副次評価項目であるOS中央値はIPI+NIVO群が33.2ヵ月、 SOC群が25.2ヵ月であった (HR 0.81 [95%CI 0.61-1.099]、 p=0.163)。
PFSはそれぞれ5.4ヵ月、 5.7ヵ月と両群間で同等であった (HR 0.99 [95%CI 0.77-1.28])。
ORRはIPI+NIVO群が32.8%、 SOC群が19.3%であった。
いずれの評価項目においても、 乳頭状RCCと非乳頭状RCCの組織型間に大きな差は認められなかった。
探索的解析では、 PD-L1 CPSスコア≧1の患者でOSの有意な改善が認められた (HR 0.56 [95%CI 0.37-0.86])。
有害事象による治療中止は、 IPI+NIVO群の17%、 SOC群の9%で認められた。
著者らは 「IPI+NIVO併用療法は、 12ヵ月時においてOSの有意な改善を示し、 安全性プロファイルも許容可能であった。 本研究の結果は、 nccRCCの1次治療において、 IPI+NIVO併用療法がSOCと比べて臨床的に有用である可能性を支持するものである」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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