【JAMA Psychiatry】統合失調症における抗精神病薬と肺炎リスクの関連は?
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海外ジャーナルクラブ

6日前

【JAMA Psychiatry】統合失調症における抗精神病薬と肺炎リスクの関連は?

【JAMA Psychiatry】統合失調症における抗精神病薬と肺炎リスクの関連は?
Luykxらは統合失調症患者を対象に、 抗精神病薬が肺炎リスクに与える影響についてコホート研究で検討した。 その結果、 抗精神病薬の単剤使用および抗コリン負荷が強い薬剤の使用が、 肺炎リスクの増加と関連を示した。 本研究はJAMA Psychiatryにて発表された。 

📘原著論文

Pneumonia Risk, Antipsychotic Dosing, and Anticholinergic Burden in Schizophrenia. JAMA Psychiatry. 2024 Jun 26:e241441. PMID: 38922592

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

「抗コリン負荷が強い薬剤が肺炎リスクを増加させる」 ということは、 誤嚥性肺炎が多いのでしょうか?Abstractからは、 肺炎の詳細まではわかりませんでした。


目的

抗精神病薬と肺炎リスクの関連性を検証

抗精神病薬、 特にクロザピンの使用は、 過去の観察研究において肺炎リスクとの関連が報告されている。 しかし、 肺炎リスクに特異的に関連する薬剤や、 用量反応関係の存在の有無については明らかにされていない。

本研究では、 特定の抗精神病薬に関連する肺炎リスク、 および多剤併用療法や受容体結合特性との関連性について検証した。

研究デザイン

抗精神病薬の単剤療法を、 用量別に評価

1972~2014年にフィンランドで登録された16歳以上の統合失調症または統合失調感情障害患者6万1,889例を対象とした。

診断・入院治療・専門外来治療に関するデータは退院登録のデータから、 外来調剤に関する情報はPrescription Registerから取得した。

特定の抗精神病薬を単剤で使用することを 「曝露」 と定義した。 これらの抗精神病薬は、 抗コリン作用の負荷に応じて低用量・中用量・高用量に分類*された。

*世界保健機関 (WHO) が定義した1日投与量 [DDD] に基づき、 低用量 (0.6未満/日) ,中用量 (0.6~1.1未満/日) ,高用量 (1.1以上/日) と設定した。

主要評価項目は 「肺炎による入院」 とされた。 肺炎リスクは、 抗精神病薬の未使用を評価基準として、 調整Cox比例ハザード回帰モデルを用いて解析した。

結果

1996~2017年の追跡期間中、 14.4% (8917例) が肺炎で入院し、 12.8% (1137例) が入院後30日以内に死亡していた。

抗精神病薬全体では、 肺炎リスクは関連せず

すべての抗精神病薬における解析結果では、 抗精神病薬の使用は、 抗精神病薬を未使用だった場合と比較して、 肺炎リスクとの関連を示さなかった。

調整後HR : 1.12 (95%CI 0.99-1.26)

単剤は用量依存的に肺炎リスクと関連

抗精神病薬単剤療法は、未使用と比較して肺炎リスクの増加と用量依存的な関連が認められた。

調整後HR : 1.15 (95%CI 1.02-1.30)、 p=0.03

抗コリン負荷が強い抗精神病薬が肺炎リスクと関連

抗コリン負荷別で解析を行った結果では、 抗コリン負荷が強い抗精神病薬の使用のみが肺炎リスクと関連していた。

調整後HR : 1.26 (95%CI 1.10-1.45)、 p<0.001

クエチアピン、 クロザピン、 オランザピンが肺炎リスクに関連

肺炎リスクの増加と関連していた薬剤は以下の通りであった。

  • 高用量*¹クエチアピン
調整後HR : 1.78 (95%CI 1.22-2.60)、 p=0.003
  • 高用量*²クロザピン
調整後HR : 1.44 (95%CI 1.22-1.71)、 p<0.001
  • 中用量*³クロザピン
調整後HR : 1.43、 (95%CI 1.18-1.74)、 p<0.001
  • 高用量*⁴オランザピン
調整後HR : 1.29 (95%CI 1.05-1.58)、 p=0.02
*¹440mg/日以上、 *²180mg/日以上、 *³180mg/日未満、 *⁴11mg/日以上

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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