【NEJM】敗血症患者へのビタミンC静脈内投与、 死亡や臓器機能不全のリスク増加
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2年前

【NEJM】敗血症患者へのビタミンC静脈内投与、 死亡や臓器機能不全のリスク増加

【NEJM】敗血症患者へのビタミンC静脈内投与、 死亡や臓器機能不全のリスク増加
Lamontagne Fらは、 ICUで昇圧剤投与を受けている成人敗血症患者を対象に、 ビタミンC静脈内投与の効果を検討する無作為プラセボ対照試験を実施 (LOVIT試験). その結果、 ビタミンC静注群は28日後の死亡または持続的な臓器機能不全のリスクが高いことが示された. 本研究はNEJM誌において発表された.

背景

集中治療室 (ICU)で昇圧療法を受けている敗血症の成人患者に対するビタミンCの静脈内投与を評価した研究では、 死亡や臓器機能不全のリスクに関してさまざまな結果が示されている. ビタミンC静注群はプラセボ群に比べ、 28日後の死亡または持続的な臓器機能不全のリスクが高いことが示された

研究デザイン

  • ICUで昇圧療法を受けている成人敗血症患者872名を以下の2群に割り付け.
  • ビタミンC静注群:435人
(50 mg/kgの用量)
  • プラセボ群:437人
  • ビタミン Cまたはプラセボの点滴を最長 96 時間にわたり6時間ごとに投与.
  • 主要評価項目:28日目の死亡または持続的な臓器機能障害の複合.

研究結果

28日目の死亡または持続的な臓器機能障害の複合

  • ビタミンC静注群で429例中191例 (44.5%)
  • プラセボ群で434例中167例 (38.5%)
  • リスク比 1.21、 95%CI 1.04~1.40, P=0.01

28日時点の死亡

  • ビタミンC静注群:429例中152例 (35.4%)
  • プラセボ群:434例中137例 (31.6%)

持続的な臓器障害

  • ビタミンC静注群:429例中39例 (9.1%)
  • プラセボ群:434例中30例 (6.9%)
  • リスク比 1.30、 95% CI、 0.83~2.05

合併症、他

  • ビタミンC静注群では1名が重症低血糖、 1名が重篤なアナフィラキシーを発症した.
  • 臓器機能スコア、 バイオマーカー、 6カ月生存、 健康関連 QOL、 ステージ3の急性腎障害、 低血糖エピソードについては、 両群で同様の所見が得られた.

結論

ICUで昇圧剤投与を受けている成人敗血症患者へのビタミンC静注群はプラセボ群に比べ、 28日後の死亡または持続的な臓器機能不全のリスクが高いことが示された.

原著

Lamontagne F, et al, Intravenous Vitamin C in Adults with Sepsis in the Intensive Care Unit. N Engl J Med. 2022 Jun 23;386(25):2387-2398. PMID: 35704292

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

日本版敗血症ガイドライン2020では敗血症患者に対して、 ビタミンCの投与を行うことを弱く推奨する(GRADE 2D:エビデンスの 確実性 =「非常に低」)とされている. その一方で本研究結果では、昇圧薬投与を受けている敗血症患者においてはビタミンC投与は死亡または臓器機能不全のリスクが高いことが示された. つまりPICOが微妙に違うが逆の結果である. GRADE2Dの推奨を頭ごなしに実診療に当てはめることがいかに難しいかよくわかる研究成果である. 大切なことはガイドラインをいつも手元でよくみられる状態にしておくことです。
ビタミンC関連研究は近年、Critical Care誌で随分取り上げられてきましたが、この研究結果で一旦一区切りと言えるのではないでしょうか
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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