海外ジャーナルクラブ
5ヶ月前
Quiruzらは、 免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) による治療歴を有する癌患者を対象に、 ICI治療後に発生する眼科領域の免疫関連有害事象 (irAE) の発現および全生存期間 (OS) への影響について、 実臨床のデータベースを用いて検討した。 その結果、 眼科irAEの発現はOSの低下に関連している可能性が示された。 本研究はAm J Ophthalmolに発表された。
「ドライアイ症候群が一番多い」 とのことですが、 ICIによるドライアイが一般的なものとその病態が異なるのか興味深いです。
ICIは癌治療において重要な役割を果たしている一方で、 さまざまな臓器にirAEを発現させることがある。
発現頻度は低いものの、 ICI治療による眼科領域のirAEを評価することは極めて重要である。
2011年1月1日~2022年12月31日にICI治療を受けた、 18歳以上の癌患者4万1,020例を対象とした。
治療開始後1年以内に発現した眼毒性を 「眼科的irAE」 と定義した。 なお、 ICI治療の開始6ヵ月前に眼毒性が発現した患者は除外された。
12ヵ月のランドマーク解析を用いた眼科的irAEの発現に基づき、 生存率との関連を評価した。
本研究のコホートにおいて多く発現した眼科的irAEは以下の5つであった。
特にドライアイ症候群は、 全てのICI*治療群で最も一般的なirAEだった。
また、 抗CTLA-4抗体+抗PD-1抗体併用療法および抗CTLA-4抗体による治療を受けた患者は、 抗PD-(L)1抗体による治療を受けた患者に比べて前部ぶどう膜炎の発生率が高かった。
12ヵ月ランドマーク解析の結果、 眼科的irAE発現患者の生存率は有意に低下していた。 ハザード比 (HR) は以下の通りであった。
著者らは 「投与されたICIにかかわらず眼科的irAEは発現し、 後眼部に比べて前眼部での発現頻度が高かった。 また、 眼科的irAEの発現は患者の生存率低下を示唆する可能性があり、 眼科的irAEへの積極的介入は、 ICI治療の継続において重要な指標になるであろう」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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