未治療の切除不能な進行性または転移性の胃/食道胃接合部/食道腺癌において、 ニボルマブ (NIVO) と化学療法 (chemo) の併用療法の効果を、 chemo単独を対照に検証した第Ⅲ相ランダム化比較試験CheckMate 649の結果より、 PD-L1 Combined Positive Score (CPS) ≧5の集団における全生存期間 (OS)と無増悪生存期間 (PFS) に対する有効性が示された。
原著論文
▼解析結果
First-line nivolumab plus chemotherapy versus chemotherapy alone for advanced gastric, gastro-oesophageal junction, and oesophageal adenocarcinoma (CheckMate 649): a randomised, open-label, phase 3 trial. Lancet. 2021 Jul 3;398(10294):27-40. PMID: 34102137
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CheckMate 649試験の概要
対象
- 未治療の切除不能な進行性または転移性の胃 / 食道胃接合部 / 食道腺癌患者
- 18歳以上
- HER-2陽性が既知の患者は除外
方法
1,581例を以下の2群に1:1で割り付けた。
NIVO 360mgを3週毎or 240mgを2週毎+責任医師が選択した化学療法*、 NIVOは最長2年
責任医師が選択した化学療法*
*XELOX (カペシタビン1,000mg/m² 1日2回 day1~14+オキサリプラチン130mg/m² day1,3週毎) またはFOLFOX (ロイコボリン400mg/m² day1+フルオロウラシル400mg/m² (day1) 1200mg/m² (day1~2) +オキサリプラチン85mg/m² day1,2週毎)
評価項目
主要評価項目:PD-L1 CPS≧5の患者におけるOSとPFS
副次評価項目:PD-L1 CPS≧1の患者および全患者のOS、 CPSカットオフ毎のPFSと奏効率 (ORR)
CheckMate 649試験の結果
患者背景
- 全患者群、 PD-L1 CPS≧5の患者群のいずれにおいても治療群間で同様であった。
- 年齢中央値は61~62歳、 男性は68~71%、 アジア人は24%、 腫瘍のPD-L1発現≧1%の患者割合は16%
追跡期間中央値
- NIVO+chemo群:13.1ヵ月
- chemo群:11.1ヵ月
OS中央値
PD-L1 CPS≧5
(95%CI 13.1-16.2ヵ月)
(95%CI 10.0-12.1ヵ月)
HR 0.71 (95%CI 0.59-0.86)、 p<0.0001
PD-L1 CPS≧1
(95%CI 12.6-15.0ヵ月)
(95%CI 10.6-12.3ヵ月)
HR 0.77 (99.3%CI 0.64-0.92)、 p<0.0001
全患者
(95%CI 12.6-14.6ヵ月)
(95%CI 10.9-12.5ヵ月)
HR 0.80 (99.3%CI 0.68-0.94)、 p=0.0002
OS率 (12ヵ月時)
(95%CI 53-62%)
(95%CI 42-51%)
PFS中央値
PD-L1 CPS≧5
(95%CI 7.0-9.2ヵ月)
(95%CI 5.6-6.9ヵ月)
HR 0.68 (98%CI 0.56-0.81)、 p<0.0001
PD-L1 CPS≧1
(95%CI 7.0-8.4ヵ月)
(95%CI 6.1-7.0ヵ月)
HR 0.74 (98%CI 0.65-0.85)
全患者
(95%CI 7.1-8.5ヵ月)
(95%CI 6.6-7.1ヵ月)
HR 0.77 (98%CI 0.68-0.87)
PFS率 (12ヵ月時)
(95%CI 32-41%)
(95%CI 18-26%)
ORR
PD-L1 CPS≧5
(95%CI 55-65%)
(95%CI 40-50%)
PD-L1 CPS<1
- NIVO+chemo群:51%
- chemo群:41%
PD-L1 CPS<5
- NIVO+chemo群:55%
- chemo群:46%
奏効期間中央値
PD-L1 CPS≧5
(95%CI 8.0-11.4ヵ月)
(95%CI 5.7-7.9ヵ月)
有害事象 (AE)
- 治療中止に至ったGradeを問わない治療関連AEの発現は、 NIVO+chemo群で36%、 chemo群で24%であった。
- 治療関連AEによる投与遅延は、 NIVO+chemo群で67%、 chemo群で58%に認められた。
治療関連AE (Grade3、 4) の発現率
- NIVO+chemo群:59%
- chemo群:44%
著者らの結論
- 未治療の切除不能な進行性または転移性の胃 / 食道胃接合部 / 食道腺癌患者のPD-L1 CPS≧5の集団において、 NIVO+chemoの併用療法は、 chemo単独と比較して、 PFSとOSを有意に延長させることが示された。
- 忍容性も良好であり、 切除不能な進行性・転移性の胃 / 食道胃接合部 / 食道腺癌患者の標準的な1次治療となる可能性がある。