海外ジャーナルクラブ
9ヶ月前

Heywardらは、 米国の66歳以上の非小細胞肺癌患者を対象に、 免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) 単独およびICI+化学療法併用の有害性と便益を後ろ向きコホート研究で検討した。 その結果、 1次治療では、 ICI+化学療法併用により重度の免疫関連有害事象 (irAE) リスクが増加したものの、 死亡リスクは低下し、 特に自己免疫疾患の既往がある患者でその傾向が顕著であった。 また、 幅広い患者で便益 (死亡リスク低下) が有害性 (重度irAEリスク増加) を上回る結果となった。 この研究はJAMA Oncol誌に発表された。
有害性と便益のトレードオフを 「1年の生存期間延長あたりの過剰な重度irAEの頻度」 としてしますが、 これを決めるのが大変難しく、 ガイドラインなどでの推奨においても核心の部分となります。
非小細胞癌 (NSCLC) に対する免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) 治療の便益と有害性は、 無作為化臨床試験で十分に評価できない患者を含め、 グループによって異なる。
そこで、 米国のデータベースを用いた後ろ向きコホート研究を実施し、 幅広い患者に用いるICI単独療法およびICI+化学療法併用療法の有害性と便益を検討した。
2013-2019年のSEER-MedicareデータベースよりICI治療歴がある66歳以上のNSCLC患者1万7,681例が対象として抽出され、 以下の2群に分類された。
主要評価項目は重度のirAE、 死亡 (死亡の遅延が便益とみなされる場合) であった。 重度のirAEは有効な診断コードおよび薬剤コードを用いて定義した。
HRおよび95%CIは、 ICIが全身性抗癌療法 (SACT) として1次治療か2次治療以降か、 また自己免疫疾患の既往の有無、 性別、 年齢によって定義されたサブグループで層別化し解析された。
有害性と便益のトレードオフは 「1年の生存期間延長あたりの過剰な重度irAEの頻度」 として記述された (生存期間の延長は制限平均生存時間を用いて評価)。
対象患者1万7,681例のうち8,797例 (49.5%) が女性で、 平均年齢は74 (標準偏差 6.0) 歳だった。
主要評価項目である重度のirAEリスクは、 1次治療ではICI単独群と比べてICI併用群の方が有意に高かったが (HR 1.18 [95%CI 1.06-1.30])、 2次治療以降ではICI併用群のリスク上昇は認められなかった (HR 1.04 [95%CI 0.92-1.19])。
もう1つの主要評価項目である死亡リスクは、 1次治療では、 ICI単独群と比べてICI併用群の方が有意に低かったが (HR 0.66 [95%CI 0.62-0.72])、 2次治療以降では低下が認められなかった (HR 0.94 [95%CI 0.68-1.03])。
1次治療では、 ICI併用により、 ベースラインで自己免疫疾患の既往がある患者の死亡が顕著に遅延した。
1年の生存期間延長あたりの重度irAEsのリスクは0.31 (95%CI 0.09-0.53) であり、 このトレードオフは男性および自己免疫疾患の既往がない患者でも示された。
著者らは 「この結果より、 1次治療でICI+化学療法併用を選択する際には、 有害性と便益の両面を考慮したうえで、 情報に基づく意思決定が求められることが示唆された。 また、 自己免疫疾患の既往を有する患者などの高リスク群でもICI単独と比べたICI+化学療法併用の潜在的な便益が期待される結果となった」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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