HOKUTO編集部
3ヶ月前

左室駆出率 (LVEF) ≧40%で心不全のない心筋梗塞 (MI) 発症後の患者を対象に、 β遮断薬の長期投与の有効性について検証した無作為化比較試験BETAMI-DANBLOCKの結果より、 主要複合心血管イベントの発生リスクが有意に低下した。 ノルウェー・Oslo University HospitalのDan Atar氏が発表した。 本研究はN Engl J Med. 2025年8月30日オンライン版に同時掲載された¹⁾。
β遮断薬は、 MI後にLVEFが低下した患者に対しては強く推奨されているが、 MI後にLVEFが保たれている (LVEF≥40%) 患者におけるβ遮断薬の長期的な有効性については、 明確なエビデンスが不足していた。
対象は、 デンマークおよびノルウェーでMIを発症し、 LVEF≧40%で心不全のない患者であり、 イベント発生後14日以内に登録された。
1次解析の対象となった5,574例が以下の2群に1 : 1で無作為に割り付けられた。
主要評価項目は全死亡または主要心血管イベント (MACE*) の複合だった。
年齢中央値、 性別などの患者背景は両群間で概ねバランスが取れていた。 ST上昇型MI (STEMI) は長期投与群47.8%、 非投与群47.2%、 LVEF 40-49%はそれぞれ16.1%、 14.5%だった。
追跡期間中央値3.5年 (四分位範囲 2.2-4.6年) において、 全死亡・MACEの発生率は、 非投与群の16.3% (454例) に比べて、 長期投与群で14.2% (394例) とリスクが15%低減した (HR 0.85 [95%CI 0.75-0.98]、 p=0.03)。 この結果は、 LVEFの値 (40-49% vs ≥50%) やMIのタイプ (STEMI vs NSTEMI) など、 事前に規定されたサブグループ間で一貫していた。
副次評価項目である全死亡とMACEの各項目の発生率 (長期投与群/非投与群) は以下の通りだった。
30日以内の全死亡、 MI、 心不全、 または悪性心室性不整脈の複合と規定された安全性アウトカムの発生率に、 両群間で明らかな差は認められなかった (0.8% vs 1.1%)。
Atar氏は 「本試験の結果は、 心筋梗塞後の2次予防におけるβ遮断薬長期投与を支持するものである」 と報告した。
¹⁾ N Engl J Med. 2025年8月30日オンライン版
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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