海外ジャーナルクラブ
1年前
Alexanderらは、 抗癌薬治療を開始する肺癌および消化器癌患者を対象に、 バイオマーカーに基づく血栓予防の臨床的有用性と安全性を非盲検第Ⅲ相無作為化比較試験TARGET-TPで検証した。 その結果、 バイオマーカーに基づく血栓リスクの分類およびエノキサパリンによる血栓予防は、血栓塞栓症の発生を抑制し、 生存を改善することが示された。 本研究は、 JAMA Oncol誌において発表された。
バイオマーカーに基づいて血栓リスクを評価して、 エノキサパリンによる血栓予防が有効性と安全性を証明しています。 これはどの介入にも今後は言えることで、 疾病全体に一様に介入を行うのではなく、 重症度 (リスク) に合わせて介入を変えていく必要があります。
抗癌薬治療を開始する肺癌または消化器癌の18歳以上の患者:328例
高リスクに分類された患者を以下の群に1:1の割合で無作為に割り付け
180日後までの血栓塞栓症の発生
血栓塞栓症リスクモデルの検証、 出血、 全死亡など
エノキサパリン群 vs 高リスク対照群
血栓塞栓症は高リスク対照群では23% (23例) が発症したのに対し、 エノキサパリン群では8% (8例) であり、 有意に少なかった。
HR 0.31、 95%CI 0.15-0.70、 p=0.005
低リスク群 vs 高リスク対照群
低リスク群では8% (10例) に発生したが、 高リスク対照群に比べ有意に少なかった。
HR 3.33;95%CI、 1.58-6.99、 p=0.002
血栓塞栓症リスクモデルの感度は70%、 特異度は61%であった。
大出血の発生に群間差は認められなかった。
エノキサパリン群 vs 高リスク対照群
HR 0.48、 95%CI 0.24-0.93、 p=0.03
低リスク群 vs 高リスク対照群
HR 4.71、 95%CI 2.13-10.42、 p<0.001
バイオマーカーに基づく血栓予防は、 肺癌および消化器癌患者において血栓塞栓症を減少させ、 死亡率も低下することが確認された。 これにより、 リスク指向型血栓予防が適切であり、 低リスク患者は不必要な介入を避けられることが示唆された。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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