「熱中症診療ガイドライン2024」 日本救急医学会が公開
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HOKUTO編集部

3ヶ月前

「熱中症診療ガイドライン2024」 日本救急医学会が公開

「熱中症診療ガイドライン2024」 日本救急医学会が公開
日本救急医学会熱中症診療ガイドライン2024タスクフォースによる 「熱中症診療ガイドライン2024」 が、 日本救急医学会のホームページ上で公開された。 同ホームページでは全文がPDFで閲覧可能となっている。 2015年の前版から9年ぶりの改訂となる今回は、 新たな重症度分類などが提唱された。 

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日本救急医学会の外部サイトへ遷移します 「熱中症診療ガイドライン2024 公表のお知らせ」

熱中症重症度分類の変遷について

本邦で利用される 「熱中症重症度分類」の変更点、 そして主に欧米で使われる「Bouchama基準」 をHOKUTO編集部で取り上げたい。

以前の 「熱中症重症度分類2015」

日本救急医学会 熱中症診療ガイドライン2015で示された熱中症の重症度分類である¹⁾。 I度、 II度、 III度 (2015) の3つに大別し、 それぞれの分類に応じて治療方針を示していた¹⁾。

「熱中症診療ガイドライン2024」 日本救急医学会が公開
一般社団法人日本救急医学会. 熱中症診療ガイドライン2015および2024をもとに監修医作図
Ⅰ度は軽度の状態を指し、 従来の分類で言うところの「熱失神、 日射病、 熱痙攣」 に相当する。
Ⅱ度は中等症で、 「熱疲労」に相当する。 
Ⅲ度は従来の「熱射病」にあたる最重症の病状を想定しており、 中枢神経症状、 肝・腎障害、 凝固異常など臓器障害を呈するものである。

何が変わった?「熱中症重症度分類 2024」

今回の熱中症診療ガイドライン2024では、 これまでⅢ度 (2015) としてきた重症群を更にⅢ度 (2024) とⅣ度に細分化する方針が示された²⁾。

熱中症重症度分類 2015
「熱中症診療ガイドライン2024」 日本救急医学会が公開
熱中症重症度分類 2024
「熱中症診療ガイドライン2024」 日本救急医学会が公開
Ⅳ度 : 深部体温≧40.0℃+ GCS≦8
Ⅲ度(2024) : Ⅳ度に該当しないⅢ度 (2015)

また、 迅速な対応を目的に、 表面対応や身体所見を用いたqⅣ度という概念も提唱された²⁾。

qⅣ度 : 表面体温≧40.0℃ (もしくは皮膚に明らかな熱感) + GCS ≦8 (もしくはJCS ≧100) 

qⅣ度の場合、 深部体温測定による速やかな重症度を判断後、 実際にⅣ度であれば、 早急にActive Cooling*を含めた集学的治療が推奨された²⁾。

*Active CoolingとPassive Coolingとは
Active Coolingとは何らかの方法で熱中症患者の身体を冷却すること。 一方、 Passive Coolingとは、 冷蔵庫に保管していた輸液製剤を投与することや、クーラーや日陰の涼しい部屋で休憩することと定義された²⁾。

2002年NEJMに掲載 「Bouchama基準」

2002年に、 Bouchamaらにより報告された熱中症基準であり³⁾、 欧米など世界的に利用されている。 Bouchama基準では以下の3つを満たすものを熱中症と定義している。

 (1) 深部体温≧40℃
 (2) 中枢神経障害
 (3) 暑熱環境への曝露

出典
1) 一般社団法人日本救急医学会. 熱中症診療ガイドライン2015
2) 一般社団法人日本救急医学会. 熱中症診療ガイドライン2024
3) Heat stroke. NEJM. 2002 Jun 20;346(25):1978-88.

最終更新日 : 2024年7月25日
監修 : 聖路加国際病院 救急部 清水真人

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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