海外ジャーナルクラブ
1年前
Morelloらは、 グレードⅢ、 Ⅳ、 Ⅴの膀胱尿管逆流を有する乳児を対象に、 尿路感染症 (UTI) 予防のための抗菌薬持続投与の有効性を非盲検無作為化比較試験で検討。 その結果、 予防的な抗菌薬持続投与は抗菌薬耐性や大腸菌以外の微生物の出現を増加させたが、 UTIの初回発生の予防に有意な効果があることが示された。 本研究はNEJM誌において発表された。
臨床研究で大切なポイントが結果の臨床応用です。 NEJMはその臨床応用への結果の解釈の部分をハイライトしていないので自分自身で考える必要があります。 本文中には下記のように記載があり、 解釈が難しいです。 the results are of doubtful clinical benefit and we believe do not support the routine use of continuous antibiotic prophylaxis in this population.
グレードⅢ、 Ⅳ、 Ⅴの膀胱尿管逆流を有する乳児のUTI予防に関する抗菌薬持続投与の有効性については議論が続いている。
グレードⅢ、 Ⅳ、 Ⅴの膀胱尿管逆流を認め、 UTIの既往がない生後1~5ヵ月の乳児
患者を以下の群に無作為に割り付け
試験期間中のUTIの初回発生
腎瘢痕の新規発生、 24ヵ月時点での推算糸球体濾過量 (eGFR)
初回UTIの発生
HR 0.55 (95%CI 0.35-0.86)、 P=0.008
UTIを1件予防するための2年間の治療必要数:7例 (95%CI:4-29)
腎瘢痕の新規発生や24ヵ月時点のeGFRには両群間で差がなかった。
予防投与群から得られたUTI分離株からは、 無投与群の分離株よりも、 シュードモナス属、 大腸菌以外のその他の微生物、 抗菌薬耐性の頻度が高かった。
重篤な有害事象は両群で同程度であった。
グレードⅢ、 Ⅳ、 Vの膀胱尿管逆流を有し、 UTIの既往のない乳児において、 抗菌薬の予防的持続投与は、 抗菌薬耐性や大腸菌以外の微生物の出現を増加させるものの、 UTIの初回発生を有意に予防する効果があった。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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