インタビュー
2ヶ月前

誰しも立ち止まり、 迷い、 そして踏み出した人生の瞬間がある。 医師の原点や転換点にフォーカスするインタビュー企画 「Doctor’s Career」。 今回は、 国立がん研究センター中央病院 呼吸器内科・先端医療科医長の吉田達哉先生 (名古屋市立大卒) に話を聞いた。 (全3回の第3回)
留学先は米ニューヨーク大学に決まった。
「たまたまニューヨーク大学の先生と食事をする機会があり、 留学を勧められました。 留学の必要性を感じていたので、 タイミングがかみ合いました」
ニューヨークでの研究生活は約2年。 語学や文化の壁に苦しみながらも、 念願だった免疫チェックポイント阻害薬の研究に没頭した。

「自分の固定観念、 常識を根底から覆される感覚でした。 日本で言う『医学』は、 米国では『サイエンス』であり、 根底に統計的なエビデンスを据えて考えていたのです」
例えば、 肺がん治療の臨床試験について、 日本の学会などでは数字の話が大半を占めていたが、 米国では全く違った。
「ニューヨーク大学の初日に、 Bossから『この臨床試験の背景にあるBiologyを考えろ』『Scienceの話をしよう』と言われたことはと今でも覚えています。 他の世界的な有名な臨床医の先生も同じような議論をしており、 日本ではありえないと感じました」

「私の師匠であり、 がん研究で世界的に知られる上田龍三先生 (現・名古屋大特任教授、 名古屋市立大名誉教授) も実は同じ趣旨のことを仰っていたのですが、 留学を通じてようやく腑に落ちたんです」
帰国後の2019年、 国立がん研究センター中央病院 (東京) の呼吸器内科と先端医療科医長に着任した。
「今は、 肺がんや中皮腫など胸部悪性腫瘍の診療をしながら、 新薬の治験や遺伝子パネル検査などに取り組んでいます。 治験で得られたデータを臨床に還元するトランスレーション研究 (橋渡し研究) を進めています」

「本当に素晴らしい師との出会いに恵まれて、 今があります。 出会いは偶然かもしれません。 それを意味のあるものにできたのは、 一歩踏み出す勇気だったと思います」
今後は、 自身が多くの出会いから経験したことを生かし、 若い医師たちを世界へ羽ばたかせることに注力したいという。
「日本だけを見ていると若手医師は苦しむだけ。 世界はもっと広い。 世界目線でやっていけるよう勇気を与えるのが僕の宿命だと思います。 日本を代表するような研究ができるよう、 サイエンスができるよう、 導くことを実践していきます」

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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