海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前
Mickelらは、 タキサン系化学療法を受ける原発性乳癌患者を対象に、 化学療法誘発性末梢神経障害 (CIPN) に対する手の冷却と圧迫の予防効果を無作為化比較試験POLARで評価した。 その結果、 冷却と圧迫いずれの介入によってもGrade 2以上のCIPNの発現率が有意に低下することが明らかになった。 試験結果はJAMA Oncol誌に発表された。
既存の神経障害や関連する併存疾患のある患者、 抗うつ薬を服用している患者はRCTの特性上除外されており、 一般化には限界があります。
CIPNはタキサン系薬剤により頻繁に生じ、 減量を余儀なくされる有害事象であるが、 現在のところ、 その発現を予防するための標準的な介入法は確立していない。
そこで、 CIPNに対する手の冷却および圧迫の予防効果を無作為化比較試験POLARで評価した。
独・German Cancer Research Centerで、 パクリタキセル / nab-パクリタキセルベースの術前療法または術後療法を受けた原発性乳癌患者*101例が以下の2群に無作為に割り付けられた。
もう一方の手には介入を行わず、 対照群とした。
冷却には凍結した手袋、 圧迫には2枚の手術用手袋 (最適なサイズより1サイズ小さいもの) を用いて、 投与30分前、 投与中および投与後に介入を実施した。
主要評価項目は有害事象共通用語基準 (CTCAE) v5.0 で評価したGrade 2以上のCIPNの発現率であった。
主要評価項目であるGrade 2以上のCIPNの発現率は、 両群ともに対照群と比べて低下した。
24例中16例 (67%) が治療中止に至り、 主な中止の理由はCIPNであった。 主な危険因子はタキサン系薬剤の累積投与量および神経毒性のある薬剤であった。
Grade 2以上のCIPNを発現した患者は、 タキサン療法中およびタキサン療法後6-8ヵ月間で全般的な健康状態の低下を示した。
著者らは 「CIPNの予防に冷却および圧迫は非常に効果的であり、 高Gradeの発現リスクが有意に減少した」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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