国立大学病院長会議の資料より

｢大学病院がなくなるかもしれない次元の問題だ｣ーー｡ 国立大学病院長会議の大鳥精司会長 (千葉大病院長) は強い危機感を示している｡ 2024年度の収支見込みで､ 42ある国立大学病院のうち32病院が赤字見込みで､ 総額が260億円に上るためだ｡ 

赤字幅が4倍に

同会議によると､黒字見込みの病院を含めた全体でも235億円の赤字見込み｡ 24年度当初は全体で58億円の赤字予測だったが､ 赤字幅が約4倍膨らむ事態になっている｡ 個別でみても赤字額が20億円を超える病院が複数ある｡

国立大学病院長会議の資料より

原因は主に支出の増加で､ 特に重くのしかかったのが､ 働き方改革や処遇改善に伴う人件費だ｡ ほかにも高額医薬品や材料の使用量増加やエネルギー価格の高騰による光熱費､ 施設の老朽化が進む改修費などがかさんだ｡

医療機器の更新に滞りも

国立大学病院の保有する施設･設備は規模が大きく､ 老朽化施設を定期的に更新しないと､ 事業継続･収入確保が難しくなる｡ だが､ 同会議によると､ 既に一部の大学病院では医療機器の購入を延期するなどの影響が出ているという｡