海外ジャーナルクラブ
15日前
Parkらは、 一般外科手術を受ける患者を対象に、 周術期出血に対するトラネキサム酸 (TXA) 予防投与の安全性と有効性を国際多施設共同無作為化比較試験POISE-3のサブグループ解析のデータで検討した。 その結果、 TXA予防投与により心血管リスクが増加することなく、 周術期出血のリスクが有意に減少した。 この研究はJAMA Surg誌で発表された。
トラネキサム酸は、 1gを基準としてさまざまな疾患で有効性が検討されています。 この"1g"という量に大きな意味はなく、 dose dependencyなども気になります。
POISE-3試験では、 予防的TXA投与がプラセボに比べ、 非心臓手術における大出血の予防に有効であることが示された¹⁾。 本研究では、 一般外科手術における予防的TXA投与の有効性および安全性を検証した。
POISE-3試験では、 一般外科手術を受けた患者と非一般外科手術を受けた患者間で、 TXAとプラセボによる治療を無作為化比較するサブグループ解析が実施された。
45歳以上の非心臓手術を受ける心血管リスクが高い患者で、 術後に1泊以上の入院が必要であることが予想された9,535例のうち、 一般外科手術を受けた3,260例が解析対象となった。
手術開始時および終了時、 TXA1gまたはプラセボを予防的に静脈内ボーラス投与した。
有効性の主要評価項目は生命を脅かす出血、 大出血、 重要臓器への出血の複合であった。 安全性の主要評価項目は、 30日後の心筋損傷、 非出血性脳卒中、 末梢動脈血栓症、 症候性近位静脈血栓塞栓症の複合であった。
有効性の主要評価項目である出血複合イベントの発生率は、 プラセボ群10.5%に対し、 TXA群では8.0%と有意に低かった (HR 0.74、 95%CI 0.59-0.93、 p=0.01)
一方、 安全性の主要評価項目である心血管イベントの発生率は、 TXA群11.9%、 プラセボ群12.5%と両群間に有意差は示されなかった (HR 0.95、 95%CI 0.78-1.16、 p=0.63)。
手術の種類 (一般外科手術 vs 非一般外科手術) による有意な交互作用は、 有効性および安全性のいずれも示されなかった (交互作用のP=0.81、 0.37)。
一般外科手術のサブタイプ別に安全性を評価したところ、 肝胆膵外科手術 (HR 0.55、 95%CI 0.34-0.91) および大腸外科手術 (HR 0.67、 95%CI 0.45-0.98) では、 予防的TXA投与による出血イベント減少効果が特に大きかった。
また、 一般外科手術のサブタイプ間では、 有効性および安全性における有意な交互作用は認められなかった (交互作用のp=0.81、 p=0.37)。
著者らは 「一般外科手術を受ける患者にTXAを予防投与すると、 心血管リスクが増加することなく、 周術期出血リスクが有意に減少した」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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