海外ジャーナルクラブ
4ヶ月前

Gallosらは、 産後出血による妊産婦死亡または重大な臨床転帰を予測する臨床マーカーとその精度を、 WHOによる世界的なデータ提供要請および各データベースから抽出した12のデータセットを基にしたメタ解析で検討した。 その結果、 測定出血量と循環動態異常の兆候を組み合わせた判定基準が高い予測性能を示すことが明らかになった。 本研究はLancet誌において発表された。
帝王切開のデータが少なく、 分娩時出血パターンが異なるため、 得られた知見を帝王切開を受けた集団に一般化できない可能性があります。

合計2点以上で高リスク|PPH早期介入推奨
(感度 86.9–87.9%、 特異度 66.6–76.1%)
産後出血 (分娩後の過剰な出血) は、 世界的に妊産婦死亡および合併症の主な原因である。 しかし、 過剰出血を最も適切に定義し、 妊産婦の有害転帰を確実に予測する臨床マーカーについては、 世界的なコンセンサスが得られていない。
そこで本研究では、 産後出血の臨床マーカーが妊産婦死亡または重大な臨床転帰を予測する精度を評価した。
WHOによる世界的なデータ提供要請およびPubMed、 MEDLINE、 Embase、 コクラン・ライブラリ、 WHOの試験登録データベースから、 客観的に測定された出血量または循環動態異常の臨床マーカーを有する参加者が200例以上含まれ、 少なくとも1つの重要な臨床アウトカムが報告されている33件の研究を特定し、 うち12のデータセット、 女性患者31万2,151例を対象としたメタ解析が実施された。
各データセットについて、 妊産婦死亡または重大な臨床転帰 (輸血、 外科的介入、 または集中治療室への入院) の複合アウトカムを予測する各臨床マーカーの予後精度を算出した。
評価した臨床マーカーは以下の5つであった。
結果は、 二段階混合効果ロジスティック回帰モデルを用いてメタ解析され、 二変量正規モデルを用いて要約精度推定値を算出した。 臨床マーカーとその閾値の選定は、 WHOの専門家によるコンセンサスプロセスに基づいて行われ、 予後感度 (80%超を推奨) を予後特異度 (50%以上を推奨) より優先させる方針がとられた。
従来の閾値である500mLでは、 測定された出血量による複合アウトカムの予後感度は75.7% (95%CI 60.3-86.4%)、 特異度は81.4% (95%CI 70.7-88.8%) であった。
閾値を300mLとした場合、 測定された出血量による複合アウトカムの予後感度は83.9% (95%CI 72.8-91.1%) と推奨される感度閾値を達成したが、 一方で特異度は54.8% (95%CI 38.0-70.5%) と低下した。
予後予測性能は、 出血量閾値500mL未満 (300mL以上~450mL以上) といずれかの循環動態異常 (脈拍数>100回/分、 収縮期血圧<100mmHg、 拡張期血圧<60mmHg、 またはショック指数>1.0)、 または500mL以上の出血を組み合わせた判定基準を用いることで向上し、 感度は86.9~87.9%、 特異度は66.6~76.1%の範囲となった。

合計2点以上で高リスク|PPH早期介入推奨
(感度 86.9–87.9%、 特異度 66.6–76.1%)
著者らは 「従来の閾値を下回る測定出血量と異常な循環動態の徴候の組み合わせは、 産後出血による死亡または生命を脅かす合併症のリスクがある女性を正確に予測し、 産後出血の早期の診断と治療をサポートできる可能性がある」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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