海外ジャーナルクラブ
2ヶ月前
Holzgreveらは、 従来の画像診断で転移を認めなかった高リスクの生化学的再発前立腺癌患者を対象に、 PSMA-PET/CTによる精査の有用性を検討した。 その結果、 PSMA-PET/CTが従来の画像診断を上回る検査精度を有することが明らかとなった。 本研究はJAMA Network Open誌にて発表された。
JAMA Network Open誌はJAMA誌と大きく異なり、 limitationが多く残る研究も掲載されることがあります。
生化学的再発をきたした前立腺癌、エンザルタミドで転帰改善 : 第Ⅲ相EMBARK
前立腺癌の転移病変は、 従来の画像診断 (CTや骨シンチグラフィ) では過小検出される場合が多い。 PSMA-PET/CTは、 高感度で転移を検出する技術として注目されており、 前立腺癌患者の病期判定および治療方針決定においてその役割が期待されている。
本研究では、 エンザルタミドの有効性を評価するEMBARK試験¹⁾において適格基準を満たす患者コホートを対象に、 PSMA-PET/CTの検査精度を評価することを目的とした。
2016年9月15日~21年9月27日における前向き研究での182例の患者を対象とした。 全員が、 根治的前立腺摘除術 (RP)、 根治的放射線療法 (dRT)、 またはサルベージ放射線療法 (SRT) 後に再発した前立腺癌患者であった。
対象患者は、 PSA値が直前値より1.0ng/mL (RPおよびSRT後) または2.0ng/mL (dRT後) 以上に上昇し、 PSA倍加時間が9ヵ月以内、 血清テストステロン値が150ng/dL以上であった。 従来の画像診断による遠隔転移例、 ホルモン/全身治療歴を有する患者は除外された。
主要評価項目は、 従来の画像診断で転移なしとされた患者に対し、 PSMA-PET/CTによって得られた病期診断結果とした。
対象患者182例のうち、 PSMA-PET/CTは84% (153例) で陽性を示した。
また遠隔転移病変 (M1) は46% (84例) で検出された。 詳細を以下に示す。
また、 多転移病変 (5病変以上) は24% (43例) で検出された。
著者らは 「PSMA-PET/CTは、 従来の画像診断では検出されなかった病変を高精度で検出し、 高リスク前立腺癌患者における精査の重要性を示した。 この結果は、 EMBARK試験などの先行研究の解釈に影響を与える可能性があり、 前立腺癌の臨床および試験介入における患者選択のためのPSMA-PETの重要性を支持するものである。 PSMA-PETの独立した予後的価値と治療指針への適用は、 さらなる研究が必要である」 と述べている。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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