海外ジャーナルクラブ
2ヶ月前
Wallströmらは、 COPDの患者を対象に、 急性増悪が心筋梗塞や肺塞栓症 のリスク増加と関連するかを後ろ向きコホート研究で検討した。 その結果、 COPD急性増悪の頻度および重症度が心筋梗塞や肺塞栓症のリスク増加と関連していることが明らかになった。 本研究は、 Chest誌にて発表された。
呼吸器疾患と循環器急性疾患が密接に関わることは、 各科診療の本邦において重要な認識となります。 横断的に初期診療・診断を行う診療科が重要となります。
COPD急性増悪は、 心血管イベントのリスクを高めるエピソードとして認識されているが、 増悪の頻度や重症度が将来的な心筋梗塞や肺塞栓症にどのように影響を与えるかは不明である。
2014年1月~2022年6月にSwedish National Airway Registerに登録され、 COPDと診断された30歳以上の患者6万6,422例が対象とされた。
患者を、 基準日前年における中等度 (経口コルチコステロイドの処方) および重度 (入院) の増悪回数で分類し、 心筋梗塞または肺塞栓症による入院または死亡を2022年12月まで追跡した。
COPD急性増悪の回数および重症度は、 心筋梗塞および肺塞栓症の漸進的な長期リスクの増加と関連していた。
心筋梗塞のSHR
- 中等度増悪1回 : 1.10
- 重度増悪2回以上 : 1.82
肺塞栓症のSHR
- 中等度増悪1回 : 1.33
- 重度増悪2回以上 : 2.62
感度分析では、 心筋梗塞や肺塞栓症のリスクは追跡開始1年目で最も強く、 時間経過とともに減少する傾向が示された。
心筋梗塞のSHR (95%CI)
- 中等度増悪1回
1年目 : 1.28 (1.01-1.63)
5年目 : 1.13 (0.99-1.29)
- 重度増悪2回以上
1年目 : 2.88 (1.88-4.42)
5年目 : 1.87 (1.38-2.52)
肺塞栓症のSHR (95%CI)
- 中等度増悪1回
1年目 : 1.59 (1.07-2.34)
5年目 : 1.34 (1.10-1.63)
- 重度増悪2回以上
1年目 : 4.54 (2.45-8.44)
5年目 : 2.63 (1.73-3.99)
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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