HOKUTO編集部
1ヶ月前

2026年2月27日、 日本臨床腫瘍学会はプレスセミナーを実施し、 3月26~28日に横浜市で開催される第23回日本臨床腫瘍学会学術集会 (JSMO 2026) の会長を務める島根大学医学部附属病院腫瘍内科先端癌治療センター教授の田村研治氏らが、 JSMO 2026の概要や注目演題などについて紹介した。

JSMO 2026のテーマは 「Medical Oncologists for Cancer Patients」。 田村氏は、 癌の総合内科医としてのメディカル・オンコロジスト (がん薬物療法専門医) の役割を改めて問い直すことを学術集会の主題に掲げた。

今回の学術集会には、 過去最多となる1,494題の演題が集まり、 そのうち約半数が海外からの応募である。 海外からの招待演者は57人にのぼり、 全セッションの約70%が英語で行われる。

会場にはAI翻訳サービスPocketalkが導入され、 国際化と参加者の利便性向上が図られている。
また、 米国臨床腫瘍学会 (ASCO) とのJoint Symposiumが4つの癌腫に関して3時間40分開催され、 日米の癌研究者が一堂に会して最新の臨床研究や治療戦略について議論する。 アジアにおける国際学会としての存在感をさらに高める学術集会となる。
目玉企画としてPresidential Sessionが設けられ、 計19演題が5つの領域にわたって発表される。 いずれもグローバル第III相試験の日本人サブグループ解析やアジア人サブグループ解析が中心となっており、 国際共同試験における日本のデータが発信される。

以下では、 プレスセミナーで取り上げられた乳癌領域と呼吸器領域について紹介する。


鶴谷純司氏 (昭和大学先端がん治療研究所 教授・所長) は、 乳腺領域から選出された4演題を紹介した。 SERENA-6試験はESR1変異を有するER陽性HER2陰性進行・再発乳癌に対する次世代経口SERDであるcamizestrantの第III相試験の日本人サブグループ解析で、 学会初公開のデータである。 サシツズマブ ゴビテカンのプール安全性解析も学会初公開となる。
ASCENT-04/KEYNOTE-D19試験はPD-L1陽性・進行トリプルネガティブ乳癌 (TNBC) を対象に抗体薬物複合体 (ADC) と免疫チェックポイント阻害薬の併用という新たな治療戦略を検証した第III相試験であり、 DESTINY-Breast05は高リスク早期HER2陽性乳癌の術後補助療法としてT-DXdとT-DM1を比較する大規模第III相試験である。
このほか、 シンポジウム12 「乳癌における脳転移」 [3/26 (木) 10:40~11:40] や、 奨励賞受賞演題であるHER2DX [3/26 (木) 8:00~9:30] も注目セッションとして挙げられた。


後藤悌氏 (国立がん研究センター中央病院呼吸器内科 科長) は、 呼吸器領域の注目演題を紹介した。 いずれもグローバル第III相試験の日本人コホートまたはアジア人サブグループの解析であり、 日本が治療開発に貢献してきたことを示す演題である。
後藤氏は、 2015年以降にNEJMに掲載された肺癌関連論文56本のうち6本が日本人筆頭著者によるものであり、 アジア発の臨床研究が世界のエビデンスを牽引していると述べた。
このほか、 アジア・オンコロジーシンポジウム、 シンポジウム14 「EGFR遺伝子変異陽性肺癌の治療課題と新規治療の展望」 [3/27 (金) 15:35~17:05]、 シンポジウム28 「小細胞肺癌に対する長期生存に向けた治療戦略」 [3/28 (土) 10:30~12:00] も注目セッションとして挙げられた。

希少がんや希少フラクションの医薬品開発~戦略・デザイン・金・ゴール~
日時 : 3/26 (木) 16:05~17:35
抗悪性腫瘍薬の供給問題を考える
日時 : 3/27 (金) 10:20~11:50
米盛勧氏 (国立がん研究センター中央病院乳腺・腫瘍内科 科長) は、 JSMO 2026で取り上げられるドラッグ・ラグおよびドラッグ・ロスの問題について解説した。
米盛氏は、 かつて問題とされていたドラッグ・ラグ (海外で承認された薬が日本で承認されるまでの時間差) は改善傾向にあるものの、 2016年頃からはドラッグ・ロス (そもそも日本で薬事承認の見込みがない医薬品が存在する状況) という新たな課題が顕在化していると指摘した。 製薬協の調査では、 86品目が日本で未承認のままであり、 さらに125品目が適応外使用の状態にあるという。

がん患者が求める専門医とは
日時 : 3/28 (土) 10:30~12:00
勝俣範之氏 (日本医科大学腫瘍内科 教授) は、 メディカル・オンコロジストの役割について、 「癌の総合内科医」 「抗癌剤の専門家」 「チーム医療のコーディネーター」 の3つの側面から解説した。
エビデンスに基づく医療 (EBM) に加え、 患者の語り (ナラティブ) に基づく医療 (NBM) やShared Decision Making (SDM) の重要性を強調し、 患者と医療者が協働して治療方針を決定するオンコロジーのあり方を提唱した。
田村研治
現地+WEBライブ配信
2026年3月26日 (木) ~28日 (土)
WEB オンデマンド配信
2026年4月15日 (水) ~5月29日 (金)
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*初期研修医 (医師免許取得後2年以内) および学生 (医学系・薬学系) は参加費無料
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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