HOKUTO編集部
2日前

未治療のEGFR遺伝子 L858R変異陽性の進行・再発非小細胞肺癌 (NSCLC) を対象に、 エルロチニブ+ラムシルマブ併用療法を行い、 その後T790M変異が検出された場合にオシメルチニブに切り替える治療戦略の臨床的有用性を、 1次治療の標準治療であるオシメルチニブ単剤療法と比較した第Ⅲ相無作為化比較試験REVOL858R (WJOG14420L) の結果、 エルロチニブ+ラムシルマブ併用療法による治療戦略成功期間(Time to failure of strategy ; TFS)の改善は示されなかった。 九州がんセンター呼吸器腫瘍科の原武直紀氏が発表した。
EGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者のうちL858R変異陽性例は 、 exon 19欠失を有する患者と比べてEGFR-TKIへの感受性が低く、 予後不良である。 FLAURA試験のサブグループ解析でも、 1次治療としてオシメルチニブが投与された患者の無増悪生存期間 (PFS) 中央値は、 exon 19欠失を有する患者の21ヵ月(HR 0.43)に対してL858R変異を有する患者では14ヵ月(HR 0.51)と低いことが示されており、 L858R変異例に対するより有効な治療戦略が求められている¹⁾。
一方、 EGFR遺伝子変異陽性NSCLCの1次治療において、 エルロチニブ+ラムシルマブ併用療法をエルロチニブ+プラセボと比較したRELAY試験では、 エルロチニブ+ラムシルマブ併用療法が、 L858R変異例においてもexon 19欠失例と同程度の有効性を示す可能性が報告されている²⁾。
REVOL858R試験では、 未治療のEGFR遺伝子変異陽性NSCLCに対し、 最初からオシメルチニブ単剤療法を実施する治療戦略と比べて、 エルロチニブ+ラムシルマブ併用療法を実施し、 その後オシメルチニブに切り替える治療戦略の方が、 臨床的有用性に優れる可能性があるとの仮説を立て、 それを検証した。
本試験では、 未治療のEGFR 遺伝子変異陽性進行非扁平上皮NSCLCのうち、 L858R変異陽性で、 20歳以上かつECOG PS 0~1の患者232例を以下の2群に1:1で無作為に割り付けた。
層別因子は臨床病期(ⅢB/ⅢC/Ⅳ vs 術後再発)、 性別、 脳転移の有無などだった。
主要評価項目はTFSだった。 TFSは無作為化からオシメルチニブ投与中の病勢進行または死亡まで(エルロチニブ+ラムシルマブ群でオシメルチニブが投与されなかった場合は1次治療中の病勢進行または死亡まで)の期間と定義した。 主要な副次評価項目は全生存期間 (OS)、その他の副次評価項目は PFS、 奏効率 (ORR)、 治療成功期間 (TTF)、 EGFR-TKIによる治療期間 (TD-TKI)、 安全性だった。
追跡期間中央値はオシメルチニブ単剤群が37.1か月、 エルロチニブ+ラムシルマブ群が40.3ヵ月だった。
主要評価項目のTFS中央値は、 オシメルチニブ単剤群が14.8ヵ月(95%CI 11.6~20.9)、 エルロチニブ+ラムシルマブ群が16.6ヵ月(95%CI 13.3~19.6)であり、 エルロチニブ+ラムシルマブによる有意なTFSの改善は認められなかった(HR 1.03 [95%CI 0.78~1.38]、 log-rank p=0.49)。
事前に規定されていた性別、 年齢層別、 ECOG PS別、 臨床病期別、 脳転移の有無別など予後因子別のサブグループ解析でも、 オシメルチニブ単剤と比べたエルロチニブ+ラムシルマブによるTFSの有意な改善は認められず、 結果は一貫していた。
エルロチニブ+ラムシルマブ群でT790M変異の検査を受けたのは48例(41%)で、 T790M陽性が確認されたのは15例(13%)だった。 エルロチニブ+ラムシルマブ群において、 実際にオシメルチニブへの切り替えが行われたのは16例(14%)だった。
副次評価項目のPFS中央値はオシメルチニブ単剤群が14.8ヵ月(95%CI 11.6~20.9)、 エルロチニブ+ラムシルマブ群が14.9ヵ月(95%CI 12.2~17.8)であり、 両群間に有意差はなかった(HR 1.08 [95%CI 0.81~1.44])。 OS中央値についてもオシメルチニブ単剤群が44.0ヵ月(95%CI 31.1~NR)、 エルロチニブ+ラムシルマブ群が38.4ヵ月(95%CI 33.3~NR)で、 両群間に有意差は認められなかった(HR 0.98 [95%CI 0.66~1.45])。
オシメルチニブ単剤群とエルロチニブ+ラムシルマブ群における主な有害事象(全Grade)の発現率は、 下痢がそれぞれ41%、 54%、 ざ瘡様皮疹が30%、 71%だった。 Grade 3以上の有害事象の発現率はそれぞれ44%、 72%、 有害事象による治療中止の割合は21%、 36%、 病勢進行による治療中止の割合は52%、 23%だった。
原武氏は 「未治療のEGFR L858R変異陽性の進行NSCLCにおいて、 エルロチニブ+ラムシルマブ投与後にオシメルチニブに切り替える治療戦略は、 最初からオシメルチニブ単剤を投与する戦略と比べてTFSの改善をもたらさなかった」 と結論。また、 「本試験のオシメルチニブ単剤群のPFS中央値 (14.8ヵ月) は、 FLAURA試験のL858R変異例における値 (14.4ヵ月) と同程度であった一方、 本試験のエルロチニブ+ラムシルマブ群のPFS中央値 (14.9ヵ月) はRELAY試験のエルロチニブ+ラムシルマブ群の値 (19.4ヵ月) と比べて数値的に短かった。 ただし、 安全性については既知のプロファイルと一致していた。 高い有害事象による治療中止割合がエルロチニブ+ラムシルマブ群の効果を制限した可能性がある」 と説明した。 その上で、 「 EGFR L858R変異陽性NSCLCは依然としてアンメットニードの病態であり、 本試験で検討した治療戦略による長期的なOSへの影響を明らかにするため、 さらに長期の追跡が継続されている」 とした。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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