海外ジャーナルクラブ
11ヶ月前
Waibelらは、 発症100日以内の10~30歳の1型糖尿病患者を対象に、 ヤヌスキナーゼ (JAK) 阻害薬バリシチニブのβ細胞機能への効果を第Ⅱ相二重盲検プラセボ対照無作為化試験で検討した。 その結果、 バリシチニブがβ細胞機能を維持する可能性が示唆された。 本研究は、 NEJM誌において発表された。
解析患者数が91症例とかなり少ない点と白人にほぼ限定している点はlimitationと言えますが、 第Ⅱ相研究でNEJMに掲載されているようにJAK阻害薬の可能性には期待を抱きます。
JAK阻害薬であるバリシチニブは、 サイトカインシグナル伝達を阻害することにより、 いくつかの自己免疫疾患に対して有効な疾患修飾薬である。 しかし、 1型糖尿病におけるβ細胞機能への影響は明らかではなかった。
診断後100日以内の10~30歳の1型糖尿病患者 : 91例
患者を以下の群に割り付けた。
48週時点の2時間混合食負荷試験中の平均C-ペプチド濃度
糖化ヘモグロビン値のベースラインからの変化、 1日インスリン投与量、 持続血糖モニタリングで評価した血糖コントロールの指標など
主要評価項目
混合食負荷後平均C-ペプチド濃度の中央値
p=0.001
副次評価項目
糖化ヘモグロビン値のベースラインからの変化;両群で同程度だった。
1日インスリン投与量平均値
48週時点の持続血糖モニタリングによる血糖値の変動係数平均値
有害事象の頻度
両群で同程度だった。
重篤な治療関連有害事象
バリシチニブまたはプラセボに起因する重篤な有害事象は確認されなかった。
新規発症の1型糖尿病患者に対するバリシチニブの48週間経口投与は、 プラセボと比較してβ細胞機能を維持することが示唆された。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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