【NEJM】新規発症1型糖尿病、 JAK阻害薬でβ細胞機能を維持
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海外ジャーナルクラブ

5ヶ月前

【NEJM】新規発症1型糖尿病、 JAK阻害薬でβ細胞機能を維持

【NEJM】新規発症1型糖尿病、 JAK阻害薬でβ細胞機能を維持
Waibelらは、 発症100日以内の10~30歳の1型糖尿病患者を対象に、 ヤヌスキナーゼ (JAK) 阻害薬バリシチニブのβ細胞機能への効果を第Ⅱ相二重盲検プラセボ対照無作為化試験で検討した。 その結果、 バリシチニブがβ細胞機能を維持する可能性が示唆された。 本研究は、 NEJM誌において発表された。

📘原著論文

Baricitinib and β-Cell Function in Patients with New-Onset Type 1 Diabetes. N Engl J Med. 2023 Dec 7;389(23):2140-2150. PMID: 38055252

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

解析患者数が91症例とかなり少ない点と白人にほぼ限定している点はlimitationと言えますが、 第Ⅱ相研究でNEJMに掲載されているようにJAK阻害薬の可能性には期待を抱きます。

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免疫抑制薬 > ヤヌスキナーゼ (JAK) 阻害薬

研究背景

JAK阻害薬であるバリシチニブは、 サイトカインシグナル伝達を阻害することにより、 いくつかの自己免疫疾患に対して有効な疾患修飾薬である。 しかし、 1型糖尿病におけるβ細胞機能への影響は明らかではなかった。

研究デザイン

対象

診断後100日以内の10~30歳の1型糖尿病患者 : 91例

介入

患者を以下の群に割り付けた。

  • バリシチニブ群 : 60例
バリシチニブ (1日1回4mg) を48週間経口投与
  • プラセボ群 : 31例
プラセボを48週間経口投与

主要評価項目

48週時点の2時間混合食負荷試験中の平均C-ペプチド濃度

副次評価項目

糖化ヘモグロビン値のベースラインからの変化、 1日インスリン投与量、 持続血糖モニタリングで評価した血糖コントロールの指標など

研究結果

有効性評価

主要評価項目

混合食負荷後平均C-ペプチド濃度の中央値

  • バリシチニブ群 : 0.65nmol/L/分
IQR : 0.31-0.82
  • プラセボ群 : 0.43nmol/L/分
同0.13-0.63
p=0.001

副次評価項目

糖化ヘモグロビン値のベースラインからの変化;両群で同程度だった。

1日インスリン投与量平均値

  • バリシチニブ群 : 0.41U/kg/日
95%CI 0.35-0.48
  • プラセボ群 : 0.52U/kg/日
同0.44-0.60

48週時点の持続血糖モニタリングによる血糖値の変動係数平均値

  • バリシチニブ群 : 29.6%
95%CI 27.8-31.3
  • プラセボ群 : 33.8%
同31.5-36.2

安全性評価

有害事象の頻度

両群で同程度だった。

重篤な治療関連有害事象

バリシチニブまたはプラセボに起因する重篤な有害事象は確認されなかった。

結論

新規発症の1型糖尿病患者に対するバリシチニブの48週間経口投与は、 プラセボと比較してβ細胞機能を維持することが示唆された。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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