海外ジャーナルクラブ
1年前
Wallisらは、 外科医の性別と術後の長期的転帰との関連を後ろ向きコホート研究で検討。 その結果、 女性外科医が治療を行った患者は男性外科医が治療を行った患者と比較して、 術後90日および1年後の死亡を含む有害な転帰の発生率が低いことが示唆された。 本研究は、 JAMA Surg誌において発表された。
本研究成果の臨床現場への展開は現時点では不可能ですが、 同様の研究結果が散見される根本的な要因については解明が必要です。
外科医の診療やコミュニケーションの性差が、 患者の周術期転帰に影響する可能性がある。 女性外科医が治療を行った患者では、 30日後の転帰が改善した。 しかし、 これらの転帰が長期にわたって持続するかどうかは評価されていない。
2007年1月1日~19年12月31日に、 カナダ・オンタリオ州で25種類の待機的手術または緊急手術をいずれかを受けた成人患者:116万5,711例
術後90日および1年における死亡、 再入院、 合併症の複合
主要評価項目の各項目を個別に評価
対象患者116万5,711人のうち、 15万1,054人が女性外科医による治療を受け、 101万4,657人が男性外科医による治療を受けた。
1つ以上の転帰不良を示した患者
死亡した患者
主要評価項目のイベント発生率は、 術後90日、 術後1年のいずれにおいても男性外科医が治療を担当した患者で高かった。
術後90日
調整オッズ比 (aOR) 1.08、 95%CI 1.03-1.13
術後1年
aOR 1.06、 95%CI 1.01-1.12
患者死亡率も、 術後90日、 術後1年のいずれの時点においても男性外科医が治療を担当した患者で高かった。
術後90日以内の死亡率
aOR 1.25、 95%CI 1.12-1.39
術後1年以内の死亡率
aOR 1.24、 95%CI 1.13-1.36
本コホート研究の結果は、 女性外科医が治療を行った患者は男性外科医が治療を行った患者と比較して、 術後90日および1年後の死亡を含む術後有害転帰の発生率が低いことを示唆している。 この結果は、 医師の性別が患者の転帰に影響を及ぼす可能性を示唆しており、 その根本的な要因や解決策についてさらに研究することが求められる。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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